本日1月8日(火)より大温室で「新宿御苑の洋らん展『御苑の宝』」が始まりました。館内各所の展示スペースにみごろをむかえた艶やかな洋ラン約50鉢を展示します。展示した洋ランはすべて新宿御苑で栽培を行っているもので、希少品種や御苑で作出した品種なども特別にご覧いただけます。
※展示する鉢は植物の健康状態に応じて入れ替えを行う場合があります
洋ランとは花を鑑賞する目的で栽培されるラン科植物の園芸上の呼称で、カトレアやシンビジウムをはじめ多くの種類があります。ラン科植物は日本のほか、東南アジア、中南米、アフリカなど熱帯から亜熱帯にかけて広く分布し、18世紀に欧州のプラントハンターにより収集が行われ、主にヨーロッパで盛んに品種改良され、さまざまな交配品種が作出されました。
(写真:ひときわ華やかなカトレアのコーナーは記念撮影にもおすすめです)
年明けから3月頃は洋ランの旬の時期にあたり、全国各地でさまざまな洋ランの展示会が開催されます。
新宿御苑ではこうした催しに先駆けて、前年の11月下旬から12月に「新宿御苑洋らん展」を行っており、昨年2018年は11月27日より12月2日まで「第30回 新宿御苑洋らん展」を開催しました。
新宿御苑は日本の本格的な洋らん栽培の発祥の地といわれているのはご存知でしょうか?
新宿御苑と温室、洋ラン栽培は今から約140年前の明治時代より続く歴史があります。
内務省所管の農業試験場であった新宿御苑では、明治8年(1875)に温室が建てられ、植物の栽培が進められてきました。
明治12年(1879)には宮内庁所管となり、温室内で栽培したメロンやイチゴなどの果物や西洋野菜を宮中晩餐会で供し、洋ラン等の温室植物で宮廷を装飾するなど、国内外の賓客をもてなしました。
(写真:旧温室)
大正から昭和のはじめにかけては、特に洋ランの交配に力を入れました。レリア シンジュクやスタンホペア シンジュク、セロジネ シンジュク、パフィオペディルム シンジュクなど、新宿の名を冠したオリジナル品種も、この頃に多数作出しました。
(写真:旧一号温室内部)
しかし、昭和20年(1945)の第二次世界大戦の空襲により園内はほぼ全焼という大きな被害を受け、温室も植物と建物の大部分が失われてしまいました。
わずかに残った洋ランなど貴重な植物は、園内で集めた薪を燃やした熱を使って越冬させることで、なんとか守ることができたと伝えられています。
戦後の昭和24年(1949)に、新宿御苑が厚生省所管の国民公園として一般公開されると、温室も御料農場から役割を変えて新たなスタートを切ることになりました。
昭和33年には当時としては東洋一の規模を誇るドーム型の大温室が完成・公開され、日本における観賞温室の先駆けとなりました。
(写真:昭和33年完成当時の大温室ヤシ室)
その後、平成24年(2012)11月に現在の大温室が完成しました。
現在、新宿御苑の大温室は環境省が所管する環境配慮型温室として、熱帯植物およそ2,700種を栽培、展示するほか、絶滅のおそれのある植物の保護増殖を行っています。
(写真:現在の大温室)
温室正面入口(新宿門側)の北側には、新しい大温室建設の際に出土した明治期の温室の遺構の一部をご覧いただけます。
(写真:明治期の温室の遺構の一部)
温室の正面入り口を入ってすぐの展示スペースでは「レリオカトレア シンジュク190番」をはじめとする御苑作出の洋ランを展示しています。
レリオカトレア シンジュク190番は昭和16年(1941)に「カトレア ハイエアナ」に「レリア スピルビエンシス」を交配育成して作出されました。
(写真:パフィオペディルム シンジュク 126)
(写真:Brassocattleya Thorntonii Shinjuku)
(写真:ションボレリア シンジュク)
あわせて、レストランゆりのき(エコハウス)展示室では、特別企画「明治150年企画『温室の歴史からふりかえる明治のおもてなし展』」を開催しております。
会場では、日本における園芸発祥の地である新宿御苑の温室の歴史と、国内の園芸文化の発展に貢献した人々の功績をご紹介しております。
(写真:エコハウス展示室)
新宿御苑にご来園の際は、ぜひ大温室とエコハウスにもお立ち寄りください。
■「新宿御苑の洋らん展『御苑の宝』」■
【日時】1月8日(火)~1月14日(月祝)
9:30~15:30(15:30入館終了、16:00閉館)
【会場】大温室
【大温室の臨時閉館について】
施設の点検を行うため、
2019年1月22日(火)から1月25日(金)まで大温室を臨時閉館させて頂きます。
来園者の皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
■明治150年企画『温室の歴史からふりかえる明治のおもてなし展■
【日時】11月20日(火)~2019年2月頃
9:00~16:00(閉門は16:30)
【会場】レストランゆりのき(エコハウス)展示室
【料金】新宿御苑への入園料が必要です。(一般200円、小・中学生50円)
【内容】日本における園芸発祥の地である新宿御苑の温室の歴史と、国内の園芸文化の発展に貢献した人々の功績をご紹介します。
2019年1月 8日 11:00