シトシトと降っていた雨は開園前にあがりました。真夏の太陽は空一面を覆う雲に隠れ、今日は過ごしやすい気温になりました。しっとりとした空気の園内は、植物と土のいい香りがします。
「巨樹の歴史を知ろう!」第2回目はタイサンボクです。園内には約60本のタイサンボクがあります。なかでも、温室前に植栽されている4本のタイサンボクは、大きいもので樹高およそ20メートル、幹回り265センチにまで生長しており、『新宿御苑 名木10選』のひとつにも選ばれています。
タイサンボクは北アメリカに分布する常緑高木で、アメリカ合衆国南部を象徴する花木とされ、ミシシッピ州とルイジアナ州の州花に指定されています。日本には、明治時代に渡来しました。来歴のはっきりしたものでは、明治12年(1879)にアメリカ合衆国第18・19代の大統領グラント将軍夫妻が、来日の記念に植樹したタイサンボクが、上野公園に現存しているそうです。新宿御苑には明治20~30年代に植えられたと記録されていて、国内でも古い歴史のある木といわれています。
(2017年6月9日撮影)
タイサンボクは、6月から7月にかけて次々に花を咲かせます。甘い香り、純白の大きな花びらが魅力で、花の大きさは50cmほどあり、国内では最大級の大きさです。現在はたっぷりと茂った葉の中に実をご覧いただけます。タイサンボクの葉の裏は茶色い毛が生えています。表側のつやつやとした緑色と美しいコンビネーションですね。
タイサンボクという名前は、漢字で「泰山木」と表しますが、これは大きな花や葉、樹形の美しさを、世界遺産に指定された中国・山東省にある名山「泰山(タイシャン)」にたとえたことに由来します。
広い園内で自由に枝をのばしたタイサンボクをお楽しみください。
2017年8月10日 13:37