菊花壇展バックヤードツアーを開催しました
新宿御苑では、6月の環境月間特別イベントとして、6月20日・21日の2日間、「菊花壇展バックヤードツアー」を開催しました。
毎年11月に日本庭園で開催される菊花壇展。その華やかな展示を支えているのは、前年から1年以上にわたる栽培作業です。
今回のツアーでは、普段は立ち入ることのできない菊栽培のバックヤードをご案内し、菊班職員が日々の栽培管理や菊の特徴についてご紹介しました。
菊は花が終わった後も地下部が冬を越して生き続けていることや、「挿し芽」によって同じ性質を持つ株を増やしていくことなど、菊の生態についてお伝えしながらバックヤードへ向かいます。
バックヤードの手前には、マテバシイの若木が植えられている場所があります。ここには以前、大きなマテバシイの木がありましたが、カシノナガキクイムシによるナラ枯れ被害によって倒木したため、バックヤードで育てた苗木を植樹しました。
この場所をはじめ、菊栽培エリアの周囲にはマテバシイが数多く植えられており、その落ち葉は菊栽培に欠かせない腐葉土の材料として活用されます。苗木を育てて森を守り、その落ち葉を菊の栽培に生かすことは、園内の植物資源を循環させる新宿御苑ならではの取り組みです。

バックヤードには、強い日差しを和らげながら風通しを確保するための栽培施設があります。一見するとビニールハウスのようですが、屋根や壁はなく、日除け用の布のみが張られています。
菊花壇展では、さまざまな様式の花壇ごとに異なる仕立て方が用いられます。この棟では、図解パネルをご覧いただきながら、それぞれの菊がどのように育てられているのかをお伝えしました。

続いてご覧いただいたのは、「大作り」です。大作りは明治時代から受け継がれている新宿御苑の代表的な菊の仕立て方の一つで、たくさんの菊花で大きな半円形を作るのが特徴です。今回は、普段見ることのない栽培途中の様子をご覧いただきました。
大作りに向けての栽培は、前年の7月から始まります。花数を増やすために、上の芽を摘んで脇芽を出させることを繰り返し、1つの株につき花の数が500~600輪になるまで枝分かれさせます。美しい樹形へと仕立てていく職人技に、参加者の皆さまも真剣に見入っていらっしゃいました。

さらに、野菊が断崖の岩間から垂れ下がって咲く姿を表現した「懸崖作り」の栽培作業もご紹介しました。
懸崖作りの栽培は前年の展示終了後の11月から始まり、成長に合わせて少しずつ枝を曲げて仕立てます。現在はちょうど水平に広がった状態ですが、このあと、アルミニウム製の針金を用いて徐々に下へと誘引し、11月には鉢の縁を大きく越えて垂れ下がる姿へと仕上げていきます。

ツアーの最後には、参加者の皆さまに実際の栽培作業を体験していただきました。
用意した苗は、すでに2回芽を摘み、枝分かれを促したものです。参加者の皆さまにも、茎を折らないよう慎重に内側へ曲げ、篠竹の支柱へテープで固定する作業に挑戦していただきました。作業をしながらとても熱心にご質問される姿が多くみられ、スタッフとの会話が活発に行われていました。
菊花壇展で展示される菊は、班のスタッフによるこのような手入れによって、丹精込めて育てられています。

今回ご参加いただいた皆さまには、菊花壇展を支える伝統の技術や、新宿御苑での資源循環を活用した栽培方法に触れていただきました。
11月の菊花壇展では、これらの菊がどのような姿に育ったのか、成果にぜひご注目ください。