庭園を守るお仕事通信春号【菊班】
今回は、挿し芽や鉢上げ、定植など、春に行っている菊栽培の作業についてご紹介します。
4月の主な作業は「挿し芽」です。挿し芽の時期は、定植の順番から逆算して決めています。比較的短期間でも生育し、定植できる品種は後半に挿し芽を行います。例えば、嵯峨菊は伊勢菊より生長が早いため、嵯峨菊の方を遅い時期に挿します。
挿し芽から3週間ほどで根が出てくるため、ゴールデンウィーク頃から「鉢上げ」を行っています。ハウスいっぱいに並んでいた芽も、現在は残り1列となりました。鉢上げした芽は、順次隣のハウスへ移されています。

鉢上げ直後の株は、まだ根が鉢いっぱいに張っていないため、強い日差しに負けてしまうことがあります。そのため、日除けの下で管理し、しっかり根が張るのを待ちます。現在、この場所にはたくさんの大菊が並んでいます。

伊勢菊や嵯峨菊は鉢上げが早かったため、すでに根が十分に張り、施肥も始まっています。
根が鉢全体に張ってくると、水をしっかりと吸収できるようになり、株の生育も安定します。水が足りないと地上部の元気がなくなるため、水の補給量で根の張り具合を判断して、十分に根が育った鉢は日当たりの良い場所で管理していきます。

懸崖菊は、11月に冬至芽(親木の横から出る、根の付いた芽)を植え付けているため、生長が早く、今月定植を行いました。今後は摘心を繰り返しながら枝数を増やし、多くの花芽を増やせるよう形づくっていきます。
大懸崖は、土手の中に籠ごと埋め込んで育てます。今後は本花壇へ展示するための鉢へ、籠ごと埋め込んでいく予定です。中懸崖や盆栽づくりは、すでに化粧鉢へ植え込み、本花壇での展示に向けて育成を進めています。

詳しくは
https://fng.or.jp/shinjuku/2024/12/18/20241218-2/
大作り菊は、本花壇に展示する1年以上前の夏に挿し芽を行っており、この時期に定植を行います。

大きく育った大作り菊は、株を傷めないよう傾けながら慎重に移動します。地面にはあらかじめ穴を掘り、その中へ定植用の籠を設置しています。鉢を外した株は、そのまま籠へ納め、土の中へ埋め込んでいきます。

今回は8株の大作り菊が定植されました。この中から3株、もしくは5株が本花壇に展示される予定です。
詳しくはこちら
https://fng.or.jp/shinjuku/2024/05/15/240515-3/
新宿御苑では、新品種を生み出すための交配作業も行っています。秋に手作業で受粉させ、冬に種をとり、現在はその種から育てた苗が生育中です。この中から優良と判断された株は、日当たりのよい畑へ植え替えます。

詳しくはこちら
https://fng.or.jp/shinjuku/2025/11/13/20251113/
条件を満たした苗は、さらに2~3年かけて育成と選抜を行います。厳しい選抜を経て合格したものだけが、本花壇で展示される品種となります。新しく作出した品種と、長年大切に守り継がれてきた品種。そのどちらも、これからの菊花壇展を支えていきます。
日々の気候変化に気を配りながら、今年も菊栽培は続いています。