庭園を守るお仕事通信夏号【菊班】
毎年11月に開催される菊花壇展。順路の最後に登場するのが、圧倒的な美しさを誇る「大菊花壇」です。
本日はその主役となる、大菊の「脇芽取りと結い立て」の作業をご紹介します。

2か月前に挿し芽をした大菊は、現在高さ50cmほどに生長しています。これくらいの高さになると茎の葉の付け根から「脇芽(わきめ)」が出てきます。脇芽とは、茎の側面から伸びる小さな芽のことで、放っておくと枝や花となって生長します。また、先端が三つに枝分かれしてしまう「柳芽(やなぎめ)」も出てきます。明らかに菊の葉とは違う、細く柳のような葉が出ることから柳芽と呼ばれます。植物にとっては、子孫を残すために枝分かれして花をたくさん咲かせようとする自然な働きです。しかし、大菊花壇に出展されるような大きく美しい花を咲かせるためには、茎のエネルギーを一本の茎と一輪の花に集中させる必要があります。そこで、不要な芽を摘み取る作業を行います。

柳芽の次の葉の下で切ります。(本来はもっと早い段階で処置します。)

切り取ったところから、再び上へとまっすぐ伸びていけるよう、茎が折れない程度の個所を見極め、ほどよい力で、テープを使い支柱に固定します。茎に不自然なふくらみが出ないよう、茎と支柱を寄せるのがポイントです。
これで、これから伸びていくトップ(頂点)が決まりました。そして同時に、株の下部にある脇芽も取り除き、余計なエネルギーを使わないようにします。大菊花壇に出展される茎は、地面からの高さが約130cm必要です。その高さで大輪の花を咲かせるため、株全体のエネルギーを一つの花に集中させます。

この栽培室では、左から3列すべてが大菊の鉢です。どの株がいつ柳芽を出して分岐し始めるかはそれぞれ異なるため、分岐したことをを見逃さないように「結い立て」を行っています。
「一輪の花に想いを込めて」
見えないところでの丹精込めた手入れが、秋に咲き誇る菊花壇展の美しさを支えています。秋の本番に向けて、引き続き丁寧に育てていきます。