庭園を守るお仕事通信12月号【菊班】
11月1日~15まで開催された秋の伝統行事「菊花壇展」。菊栽培所では、来年の準備が始まっています。本日は菊班のお仕事から小懸崖(懸崖菊花壇前列)の冬至芽の選別と植え付けをご紹介します。
小懸崖は、今年育てた親木の株から出た芽を選んで育てます。挿し芽ではなく冬至芽(花の終わった株親の地下の茎から周囲に出てくる新芽のこと)で育てる理由は、根が既に出ているので活発に生育していて、早い生長が期待できるからです。
いくつか芽が出ている中から最適なものを選んで植え付けを行います。親木の株に近い芽は親木がウィルスや病気を持っていた場合に受け継いでしまう恐れがあるので、なるべく避け、親株から遠い芽を選ぶのがポイントです。
また、先端につぼみがついているものや、枝分かれしてしまったものは、芽の勢いが分散してしまうので避けます。葉が良く展開していて根がよく出ているもの、根と葉のバランスが良いものが好ましいものです。下の写真の中では右端の芽が選ばれました。
液体の活力剤を付け根の切り口に、粉状の発根材と抗菌剤をつけてから植え付けを行います。
鉢底には小さく切った麻の網を敷き、土を入れていきます。植え付け用の土は、新宿御苑内の落ち葉で作った腐葉土と赤玉土等を混ぜたものを使います。懸崖菊花壇と大作り花壇では、たくさんの花を咲かせるため、どうしても根が詰まってきます。根腐れを防止するために、特に水はけがよくなるように配合しています。
懸崖菊花壇用の菊は、成長に合わせて鉢を大きくすると共に、その都度、土の配合を変えながら展示するまでに4回植替えを行います。
写真に並んでいる鉢は、右側は来年用の大作りの鉢、左側は大・中懸崖の鉢です。小懸崖は、大・中懸崖の隣に並べてこの中から勢いよく生長し、厳しい目で選び残った菊が、来年の晴れ舞台に登場します。