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庭園を守るお仕事通信7月号【菊班】

庭園を守る取り組み

11月1日から15日まで毎年開催される秋の伝統行事・菊花壇展。楽しみにされている方が多いことと思います。菊花壇展の準備は1年以上前から園内にある菊栽培所(非公開エリア)で始まっています。
本日は菊班の作業から「1本立ての脇芽とりと結い立て」をご紹介します。

1本立てとは1本の茎から一つの花を咲かせる大菊や一文字、管物菊のことです。

大菊花壇と一文字菊 管物菊花壇では、一列一品種ずつ、黄・白・紅の花色の順に植えた菊全体が神馬の手綱模様に見立てた「手綱植え」と呼ばれる新宿御苑独自の様式がとられています。
花壇は、スーッと伸びた茎の先に大輪の花を咲かせたものが綺麗に整列していますが、花壇を作る際に高さを揃える為、1本1本を最低が130㎝以上の高さになるように育成していきます。

この日よけ棚の中には1500鉢の大菊と800鉢以上の一文字、管物菊が管理されています。その中には新宿御苑で交配した試作品もあります。花壇に欲しい色合いの菊があれば、交配して作出しています。

現在は1mほどに育った2000株以上の1本立てを毎日チェックしています。


栽培している株の中には、虫に喰われて糞が残っている物も確認されます。虫に喰われてしまった場合は、喰われた場所よりも下の部分まで何らかの影響を受けているかもしれません。軽傷に見えても後で奇形が出てしまう可能性があるため、一段下の方で丸ごと摘み取ります。

写真の株は柳芽と呼ばれるという脇芽が出てきてしまっています。柳芽は放っておくと柳のような細い葉になり、こちらも奇形の花が咲いてしまいます。上の2本を摘んで2,3本目を残します。二股や三股になってしまった場合も、主役にふさわしい芽をスタッフが選んで他は摘み取ります。これを「脇芽取り」といいます。

伸びた枝は支柱にガーデンテープで留めていきます。これを「結い立て」といいます。結い立ては、まっすぐに育てるだけでなく、生長を助ける意味もあります。支えがあることで植物も安心して高く伸びることが出来るわけですね。伸びたばかりの柔らかい枝をテープでとめると簡単に折れてしまったり、成長を妨げたりすることがあります。逆に固くなってしまった枝ですと、折れる心配があります。程よいところで結い立てする為に、毎日のチェックが必要です。


菊班は11月の菊花壇に向けて粛々と準備を進めています。

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