庭園を守るお仕事通信2月号【菊班】
本日は菊班の2月の作業から「懸崖菊(小)の植え替え」をピックアップしてご紹介します。
懸崖作り花壇には、大小の懸崖菊を飾ります。懸崖菊とは、1本の小菊を大きな株に仕立てる技法です。今回は小さい懸崖菊の植え替えをご紹介します。
(懸崖作り花壇:11月開催の様子)
12月半ばに親木から出た芽をとって生長した苗は、根が鉢いっぱいに伸びて窮屈な状態です。根の伸びる範囲を広げ、苗がしっかり育つように一回り大きな鉢に植え替えます。
効率的に作業を行うために、菊班のスタッフが分業で作業します。
手順は、
1人目が、鉢から苗を抜き取り、次の人に渡します。
鉢をもって垂直に鉢の縁を軽く叩くと根を傷めずに抜くことができます。
2人目は、受け取った苗に、抗菌作用と土の酸度調整の効果があるケイ酸塩白土を根にまんべんなく振りかけ、次の人に渡します。
3人目は、ひと回り大きな鉢に苗を移し、土を被せます。土は、新宿御苑で作った腐葉土や赤玉土などを混ぜた培養土を使います。懸崖菊は手前にしな垂れて生長するので、支柱は前に少し傾けて立てます。
4人目は、植え替えた鉢へ水やりを数回に分けて行います。
1度目の水やりは水の通り道を作るために、鉢の下から水が出るまで与えます。1度の水やりでは、鉢全体に水が浸透しにくいため、少し時間を置いた後、2度水をやります。水にも、生長を促進させる活力剤を混ぜてあります。
次に、植え替えを行うのは4月です。最初は200鉢あった苗ですが、生長の具合を見て、植え替えのたびにより良い苗を選別し、最終的には、30鉢ほどに絞り込みます。その年によって天候や気温は違うので、菊花壇展の時に綺麗な花がご覧いただけるように、さまざまな条件の苗をスタッフが選別しています。
野趣に富んだ花壇が人気の懸崖作り花壇。晴れ舞台のためには、入念な準備が必要です。