2020新宿御苑フォトコンテスト入賞作品【上位四賞】および審査員総評
【主催者あいさつ】
「2020新宿御苑フォトコンテスト入賞作品展」にご来場いただき、誠にありがとうございます。このコンテストは、カメラを通して新宿御苑の自然の素晴らしさを感じ楽しんでいただくため平成3年度から開催され、今年で30回目を迎えました。
今回は北は長野から南は鹿児島まで全国各地207名のみなさまから836点の作品のご応募をいただきました。いずれも甲乙つけがたい力作ばかりでしたが、厳正な審査を経て入賞作品が選ばれました。
写真展には入賞作品とあわせて、審査にあたられた写真家の特別作品を展示いたしました。多くの方々にご覧いただき、新宿御苑の四季折々の表情と自然の美しさを楽しんでいただければと思います。
フォトコンテストの実施及び写真展の開催にあたり多大なるご支援をいただきました、環境省新宿御苑管理事務所、富士フイルムイメージングシステムズ株式会社ならびに関係各位に厚く御礼申し上げます。
一般財団法人 国民公園協会 会長 杉山 博孝
【審査員総評】
昨年、今年と新型コロナウイルス流行の影響を受け、新宿御苑も閉苑という異例の事態が起こりました。主催者も審査に関わる私達も、果たしてどれだけの方が応募してくださるか不安でしたが、ふたを開けてみると例年より応募点数は少ないものの、内容は常に劣らないものでした。
上位入賞された作品はいずれも優劣を付けるのが難しいものでしたが、環境大臣賞となった作品は御苑の特徴を見事に表現されています。新宿御苑では特色豊かな菊を栽培して毎年日本庭園に展示していますが、花そのものでなく、それを飾る伝統技術に着目して分かりやすくまとめています。この他、最近催された春秋のライトアップをモチーフにしたり、「エッこんな光景があったの!」と思わされるカットを見せて頂けたのは幸いでした。
御苑が如何に皆さんに愛されているかを証明した結果だと思いますが、気軽に触れられる豊富な自然と安心感は何ものにも代えがたい魅力があります。
こからもフォトコンテストを通して、新宿御苑の自然の素晴らしさを未来につなげて行きたいです。
写真家 木村 正博
写真家 岡本 洋子
【環境大臣賞】
「伝統を守る職人さん」 峯岸 誠一さん
菊花壇展の上家を伝統技法を用いて作る職人さん達に注目された作品は、これまでにない視点です。葦簀と青竹、棕櫚縄で屋根を葺き、建屋やその周囲を装飾する職人さんの姿が三枚の写真で分かりやすくまとめられています。
撮影日:2020年10月24日、10月30日
撮影場所:日本庭園
【環境省自然環境局長賞】
「桜花爛漫」 渡辺 知子さん
昨年から始められた桜のライトアップを、いいアングルで捉えられました。広角レンズを用い、咲き誇る桜の花や幹、枝をシャープに捉えているのが目を引き付けます。観覧している人や枝先の花が適度に被写体ブレしているのも効果的でした。
撮影日:2019年4月18日
撮影場所:風景式庭園
【環境省新宿御苑管理事務所長賞】
「芳香の道」 富永 賢さん
秋雨の御苑は被写体探しに苦労しますが、道を埋め尽くすように落ちたキンモクセイの花と周囲の景色を的確に組み合わせています。画面左上には咲き始めた十月桜も取り入れられていて、御苑の多様な植生を示しています。
撮影日:2020年10月8日
撮影場所:風景式庭園
【一般財団法人国民公園協会会長賞】
「清風」 西島 洋憲さん
一瞬「露出不足?」と思いましたが、よく見ると作者が意図的に露出をコントロールしているのが分かりました。ISO感度やレンズへの入射光量を適切に管理し、秋の天気が見せる御苑の表情を見事に表しています。
撮影日:2019年3月21日
撮影場所:風景式庭園