2015新宿御苑フォトコンテスト入賞作品【上位四賞】および審査員総評
【主催者あいさつ】
「2015新宿御苑フォトコンテスト」入賞作品展にご来場いただき、誠にありがとうございます。このコンテストは、カメラを通して新宿御苑の自然の素晴らしさを感じ楽しんでいただくため平成3年度から開催され、今年で25回目を迎えました。
今回も北海道から沖縄と全国各地540名のみなさまから2122点の応募をいただきました。歴代5番目となる多数の作品が寄せられ、いずれも甲乙つけがたい力作ばかりでしたが、厳正な審査を経て入賞作品が選ばれました。
写真展にはこの入賞作品とあわせて、審査にあたられた写真家の特別作品を展示いたしました。多くの方々にご覧いただき、新宿御苑の四季折々の表情と自然の美しさを楽しんでいただければと思います。
フォトコンテストの実施及び写真展の開催にあたり多大なるご支援をいただきました、環境省新宿御苑管理事務所、富士フイルムイメージングシステムズ株式会社ならびに関係各位に厚く御礼申し上げます。
一般財団法人 国民公園協会新宿御苑 会長 福澤 武
【審査員総評】
新宿御苑のフォトコンテストは、今回25周年を迎えました。日本国内では様々なフォトコンテストが開催されていますが四半世紀続いているものは少なく、ここが多くの人々に親しまれていると共に、被写体が豊富なことの証だと思います。
一口に25年といっても、誕生した子供が青年となるだけの時間が経過しているわけです。その間には阪神淡路大震災や東日本大震災や関東豪雨があり、その爪痕は今も癒えていません。幸い御苑はそのような災厄の被害を直接受けてはいませんが、台風や雪害により樹相が変わったものや倒れた木々は少なくありません。十年一日のように見える苑内もよく見ると様々な変化があり、それが撮影者にとって大きな魅力になっています。今回の応募作の中にもその一面が現れ、苑内を知り尽くしているはずの我々が場所の特定に戸惑い、地図や記憶を辿って撮影ポイントを確認する場面もありました。
いい写真を写す秘訣はいいモチーフに出会うことですが、その意味でこの場所ほど地の利を含めた諸条件に恵まれている場所は少ないでしょう。その利点に撮影される皆さんの創意と工夫を組み合わせ、御苑の魅力を発信する力作が寄せられたことに感謝すると共に、このコンテストが半世紀、一世紀と続き、歴史の語り部としての足跡を記し続けることを願ってやみません。
写真家 木村 正博
写真家 岡本 洋子
【環境大臣賞】
「春の水面」 松山 進さん
すでに桜は散ってしまった後のようですが、旧御凉亭の前の池の面を覆い尽くした花弁が風で渦を巻く様子が春らしさを感じさせます。この時期は私も同じ場所を何度も訪れますが、残念ながらこのような現象には出会ったことがありません。ご自分の目の前に展開される自然の表情を、しっかりしたフレーミングで捉えています
撮影日:2015年4月3日
撮影場所:日本庭園
【環境省自然環境局長賞】
「別世界」 綾田 明さん
旧洋館御休所の窓ガラスに映った風景にレンズを向け、モノトーンで仕上げたのがよかったですね。時代を感じさせる建築様式や、窓ガラスの歪みも題名と違和感がなく、葉を落としたメタセコイアと空のトーンが御苑の歴史を物語っています。
撮影日:2015年12月27日
撮影場所:旧洋館御休所
【環境省新宿御苑管理事務所長賞】
「雨のちハルニレ」 宇田川 健太郎さん
大雨の後でしょうか? ハルニレの周辺の窪みに溜まった水にハルニレの枝葉が映り込み、まるで熱帯地方の湖のような錯覚を覚えさせます。逆光気味の光で映り込みや幹を黒く落とし、画面に立体感を与えたのも功を奏しています。
撮影日:2015年7月3日
撮影場所:風景色庭園
【(一財)国民公園協会新宿御苑会長賞】
「夕暮の一時」 今井 政男さん
冬の夕暮れ、楽羽亭の窓ガラスの灯りと戸外の松の枝を対比し、ものの哀れを感じさせる画面を演出しています。焦点を画面中央の松葉に合わせ、背景の簾や窓ガラスをわずかにぼかし、立体感を感じさせる画面にしているのが効果的でした。
撮影日:2015年12月12日
撮影場所:日本庭園