2014新宿御苑フォトコンテスト入賞作品【特選】
「春爛漫」 宮澤 寛さん
レストハウス近くでしょうか。咲き誇る八重桜の花に手を伸ばす男の子に焦点を合わせ、背景に日溜りで憩う人々の姿を上手に組み合わせています。画面手前に取り入れた桜の花が適度にボケ、後ろ側の被写界深度の深さを利用した遠近感の描写もよく、御苑の春の一コマが上手に表現されています。
撮影日:2014年4月中旬撮影
撮影場所:風景式庭園
「早咲き」 黒田 良男さん
早咲きの春バラに焦点を合わせ、遠方に新宿の高層ビル群を見事にまとめています。広角レンズの使用上、最も注意したいのは被写体から離れることです。この作品は主役の花に近付いて主役の花を強調し、その後ろに遠景を自然なぼけで組み合わせ、御苑の立地を一目瞭然に見せてくれました。
撮影日:2014年5月15日
撮影場所:整形式庭園
「晩春のひととき」 荻原 弘和さん
昨年は藤の花がきれいでしたが、背景に旧御凉亭を組み合わせて遠近感を見せた構成が御苑らしさを強調してくれました。また、日が当たると花の紫色が出難いのですが、日陰になっていることで花の存在が見る者の目に真っ直ぐ飛び込んで来ます。
撮影日:2014年5月1日
撮影場所:日本庭園
「ハルニレを見上げて」 藤井 哲さん
意図的に露出オーバー気味にされたのでしょうが、初夏らしい雰囲気を持った画面になっています。広角で低い位置からハルニレの木を見上げ、対比するように3人の人物を組み合わせたのも効果的でした。可能ならもう少しレンズを下向け、画面手前下の地面に張る根の様子をもっと取入れるとよかったでしょう。
撮影日:2013年8月24日
撮影場所:風景式庭園
「菊日和」 矢島 勲さん
斜め横から射し込んだ光が葭簀と肥後菊に当たり、白い花弁が浮き上がっています。肥後菊花壇は西側に木立があるため、日が射し難くて写すのが難しい花ですが、今年は雪害の影響による倒木で光の具合や環境に変化がありました。このように新宿御苑の景色は刻々と変化しており、よく観察すると様々な発見があります。
撮影日:2014年11月7日
撮影場所:日本庭園
「晩秋の大イチョウ」 高林 俊樹さん
太陽を浴びて輝くイチョウの黄葉の下、落葉の上に寛ぐ女性の様子に焦点を当てたのがよかったですね。光も強過ぎず、地面の明暗が必要以上に強くなかったのも功を奏しています。ただ一寸撮影距離が遠かったのが残念で、焦点距離に余裕があればもう少し伸ばし、周囲を省略して女性の姿を大きく取り入れるとよかったでしょう。
撮影日:2014年11月23日
撮影場所:風景式庭園
「彩る水辺」 鹿内 忠直さん
母と子の森の池の畔にあるモミジが池に映り込む様子に着目し、映り込みを大きく扱ったのが成功しています。また下の池の紅葉も、逆光で色を鮮やかに描写したのが効果的でした。御苑の端と端を2枚組にし、園内で見られる様相の違いを見せたのがよかったのですが、各々のフレーミングに付いてはもう一つ詰めて頂きたかったと思います。
撮影日:2014年11月30日
撮影場所:母と子の森、下の池
「オンステージ」 細貝 辰徳さん
イギリス風景式庭園のハルニレの切り株に乗り、大きな声で歌っているのでしょうか。それともキラキラ光る黄葉に見とれて歓声を上げているのでしょうか? 元気一杯な女の子が御苑の秋を楽しんでいる様子が微笑ましい画面です。もう少し近付くかズームアップして表情を大きく捉えると、さらに良い作品になると思います。
撮影日:2014年12月14日
撮影場所:風景式庭園
「力を合わせて」 小林 哲さん
新宿高校の学生ボランティアによる、苑内清掃の様子にレンズを向けられたのですね。御苑はこのような人々の支えにより、市民が気持ちよく憩える場になっているのがよく分かります。多くの学生が参加している様子が分かりますが、中央左の2人の女学生を画面手前に大きく扱ってもよかったと思います。
撮影日:2014年12月5日
撮影場所:整形式庭園
「二人の世界」 菊地 豊さん
雪が降りしきる、プラタナス並木に立つ二人。まさにタイトルどおりの画面ですね。これまであちこちで悪天候はシャッターチャンスと言ってきましたが、それを地で行く環境の御苑を訪れたのが成功の元でした。二人が立つ位置もよく、並木と遠くに霞む建物の組み合わせが遠近感を強調しています。
撮影日:2014年2月8日
撮影場所:整形式庭園