内堀通り前に現存する遺構【桜田巽櫓、桔梗門、富士見櫓】
今回は和田倉噴水公園西側の内堀通りを挟んだ向かい側に位置する桜田巽櫓、桔梗門、富士見櫓をご紹介します。
こちらは旧江戸城三の丸の東南(巽)側にあり全国でも最大級の二重櫓である「桜田巽櫓」。
現存する櫓の中で最も近くから見る事ができる為に、破風に施された青海波模様の美しい屋根をじっくりと観察する事ができます。
また防御設備としては、櫓中央の出窓のようにせり出ている下面には「石落とし」という穴があいています。それは、石垣をよじ登ってくる敵兵に石を落とし熱湯をふりかけ、あるいは鉄砲で真上からの攻撃が出来るような構造になっているそうです。
そんな桜田巽櫓の左手奥に位置するのは、現在では一般参賀や皇居参観の際に利用されている「桔梗門(内桜田門)」です。大手門が本城への正門として大名などが登城する為に使用していたのに対して、「桔梗門(内桜田門)」は旗本や商人たちが通行する虎口として使用していました。
そして、桔梗門(内桜田門)背後にそびえ立つ「富士見櫓」。(この画像は東御苑内から撮影しました。)
初代の櫓は加藤清正が築いたとされる石垣に慶長11年(1606)に三層の櫓を建て完成しましたが、明暦の大火によって類焼し再建した後は天守閣の代用として使用されていました。一般的な櫓と違い、四面各階共に窓があり、どこから見ても正面に見える事から「八方正面櫓」とも呼ばれています。
将軍が品川の海や夏の風物詩である両国の花火を富士見櫓の三階部分で眺めたそう。
最後に、皇居外苑から桔梗門(内桜田門)脇の蛤濠(はまぐりほり)を撮影した一枚です。忙しく飛び回りながらギューイギューイと鳴き声を出すユリカモメが、賑やかに滑空していました。
ここ最近は昼頃になってもお濠の水面には薄らと氷が張っていることも。まるでアイススケートをするかのように、氷面をすいすいと移動する小鳥の姿が見られることもありますよ。
厚手のコートや耳あて、手袋などをして、冬の皇居外苑散策をどうぞお楽しみください。