石垣の秘密
今年も残すところあとわずかとなりました。苑内の木々はつかの間の紅葉を残して葉を落とし、ひっそりと次の一年に備え始めています。
今回は「国指定特別史跡江戸城跡」に指定されているここ皇居外苑・東御苑に残る江戸時代の遺構、「石垣」にスポットを当てご紹介します。
こちらは東御苑東側に現存し、本丸と二の丸を分ける白鳥濠の上をめぐる石垣です。一説によると家康時代に築かれた城内最古の石垣と言われています。
白鳥濠の石垣は「打ち込みハギ」といわれる積み方です。石の大きさをほぼ同じに揃え表面に整形を加えます。接合面を打ち欠いて接点を増やし、すき間には間石(あいいし)といわれる小石を詰めているところが特徴です。
汐見坂と梅林坂の間では、「切り込みハギ」という形態の石垣がご覧いただけます。
「切込みハギ」はノミやタガネで削り石と石とを密着させ隙間を作らずに積み上げるところが特徴です。
打ち込みハギに比べて美観にも配慮しているのがわかりますね!
また、石垣の面に細いすじが入っているのは、「すだれ仕上げ」といわれる大変手間のかかる装飾。石工職人のこだわりが感じられます。
場所は変わってこちらは江戸城天守台の石垣。ほぼ規則的に積み重なっている様は「切り込みハギ」の完成形ともいえます。上下の石が平行でバランスの良い「布積み」と呼ばれる積み方。
石垣の角の部分は、隅石に畳石(長方形の石)の長辺と短辺を互い違いに向けて積み上げる手法で「算木積み」といいます。
六角形に整えられた石を積み上げる手法の「亀甲積み」の中でも、とくに美麗に仕上げられている外桜田門。
また、石垣には実に多くの種類の刻印が見られます。刻印の意味は石材の切り出しや石垣普請の担当大名を表す印、切り出す職人棟梁を表す印などが考えられ、あるいは石材の切り出しや石垣普請など、作業上必要な印などであったのかもしれません。
こちらは、祝田口の石垣にある刻印です。渦巻きの様にみえます。
馬場先門では魔除けの呪符と思われる刻印も見つける事ができました!
皇居を散策される際は、江戸城を囲む堅固で壮大な石垣や、ひっそりと残る印に注目しながら巡る『江戸散歩』を楽しまれてはいかがでしょうか?