皇居外苑・夏のおすすめ散策コース②
広大な緑地や水辺、多くの歴史的遺構が残されているここ皇居外苑は、訪れる度に新たな魅力が見つかる国民公園です。
各所休憩スポットに立ち寄りながら、苑内の歴史・文化・自然をお楽しみ頂ける「皇居外苑・夏のおすすめ散策コース②」をご紹介します。
◎散策の際は帽子や日傘などを使用し、こまめな水分補給を忘れずに、熱中症には十分ご注意ください。
◎今回のコースには森林公園「北の丸公園」が含まれています。蚊の多い場所もありますので、虫除け対策をお忘れなく!
今回の出発地点は地下鉄竹橋駅1a出口。
地上に出て正面に位置するのは、徳川家康が関東に入国する以前から存在していたとされる竹橋。その昔竹を編んで渡した橋だったという説が、名の由来となっているようです。現在は美しい石造りのアーチ橋となっています。
そんな竹橋手前に位置する横断歩道を渡ると、通りを挟んだ向かい側に「パレスサイドビル」が見えます。こちらのビル内にはコンビニや飲食店が入っているので、散策前に飲み物や軽食などを購入しても良いですね。
それでは散策スタートです!まずは濠沿いを北へと進んでいきましょう。少しすると左手に、「清水濠まちかど庭園」が現れます。
首都高速道路の高架下に位置するこちらの庭園は、目の前に広がる江戸城の濠、石垣、さらに先程ご紹介した「竹橋」の全体像がご覧頂ける、おすすめビュースポット。
少しすると右手に千代田区役所の合同庁舎が見えてきます。こちらの一階の区民ホールにはテーブルとイスがたくさん置かれており、イートインも可能です。
・・・休憩スペースで一息ついたら、広大な清水濠を眺めながら再び歩いて行きましょう。少しすると前方奥、緑の森の中に、ぽっかりと浮かぶ特徴的な屋根が現れます。玉ねぎの様な擬宝珠がトレードマークの「日本武道館」です。濠と美しく調和した景観が楽しめるのは、この場所ならでは。
さらに進んで行くと、堅固な石垣に囲まれた「清水門」の姿が。この門は皇居の北側に位置する森林公園「北の丸公園」への入口の一つです。北の丸公園は江戸時代、「江戸城北の丸」として春日局や天寿院(千姫)などの屋敷がありました。
こちら清水門は元和2年(1620)には存在していたとされる、大変古い門です。
現在の門は江戸時代の三大大火のひとつ、明暦の大火後の1658年(慶長17年)に再建されたと考えられています。
北の丸公園は八代将軍徳川吉宗の時代に、徳川氏の御三卿である「田安徳川家」、「清水徳川家」が東西に分かれ屋敷を構えた場所。
清水門は清水家の屋敷地の入口となることから、この名となりました。
門周辺で見られる立派な石垣は、「打込み接ぎ(うちこみはぎ)」と呼ばれる工法が用いられています。ほぼ同じような大きさに石を加工し、石と石の隙間に間詰め石が充填されています。
石垣の脇を通り抜けると、幅が広く、段差の高い階段「雁木坂(がんぎざか)」が現れます。敵の侵入を遅らせるため、わざと登りにくく造られたものです。江戸時代のままの姿で「雁木坂」が残されているのは、江戸城跡の中ではこの場所だけ。
坂を上りきると、ベンチやお手洗いがある広場になっています。この場所に来られた際に、是非ご覧頂きたい景観が・・・
こちら。先ほど通って来た清水門全体を上から一望できるおすすめビュースポットです。
とっておきの一枚が撮影できたら、公園内へと続く階段を上りましょう。
・・・すると、青々とした緑の中に静かに佇む「吉田茂」像の姿が現れます。
戦後、日本の復興と世界外交復帰に尽力し、サンフランシスコ講和条約の締結などでは持ち前の行動力で日本の政治・外交を牽引した吉田茂。
銅像は船越保武により1981年(昭和56年)に建立されました。
銅像を見学したら、像の両脇に位置する緑のトンネルを、しばらく道なりに進みましょう。
大通りに突き当たったら、そのまま横断歩道を渡って一つ目の角を右へ。
少し行くと、左手に「近衛第一歩兵聯隊碑」が現れます。北の丸公園には明治維新後、近衛兵営をはじめ、陸軍関係の施設が置かれていました。
明治新政府が樹立した当初、脆弱な体制だった明治政府が「天皇の警護」を名目に薩摩・長州・土佐藩から約1万人の献兵を受け、創設されたのが「近衛兵」です。園内は「近衛第一聯隊」と「近衛第二聯隊」の宿営地でした。
碑の裏手に位置するのは北の丸公園のおすすめ休憩スポット、「ザ・フォレスト北の丸」です。左手に見えるのは先ほど濠と共に眺めた「日本武道館」。
こちらの施設内には、公園の変遷や動植物情報、地理などを紹介したインフォメーションコーナーやパンフレットラックがある他、「ザ・フォレスト北の丸」自慢の和牛100%のハンバーガー等、その他豊富なカフェメニューがお楽しみ頂けます。
ザ・フォレスト北の丸でひとやすみした後は、公園西側でのんびり森林浴を楽しみましょう。
施設を出てすぐ、西大通りの橋手前の小道を進んで行くと・・・・
緑の中に、足元を流れる涼し気な流れが現れます。虫の声や流れる水の音に耳を傾けていると、暑さを忘れてしまいそう。
たっぷりマイナスイオンを浴びながら、緑の中を進んで行きましょう。
しばらく道なりに進むと、右手に赤レンガ造りの建物が現れます。こちらは「東京近代美術館工芸館(旧近衛連帯司令部庁舎)」。
(※現在の開催されている催しについてはこちら)
昭和36年に重要文化財に指定されたこちらの建物は、赤レンガ造りの簡素なゴシック風で、明治洋風建築として代表的な存在となっています。日本人技術者が設計した現存する数少ない遺構です。
近代美術館工芸館を見学後は、工芸館脇の緑の中に佇む「北白川宮能久親王(きたしらかわのみやよしひさしんのう)」像のもとへ。
幕末・明治の皇族、陸軍軍人で、1847年(弘化4年)伏見宮国家親王の第九皇子として御生まれになり、1858年、上野寛永寺の門跡(皇族・貴族が勤める特定の寺社や、その住職)となられます。 1884年には陸軍少将、1893年には近衛師団長になられ、軍を率いて台湾に御出征されました。
しかしその地で疫病にかかり、1895年、49歳でその生涯を終えられました。
今にも馬が動き出しそうな躍動感。芸術的にも高く評価されている、生命力溢れる銅像です。
銅像を見学されたら、公園をぐるりと周りながら先ほどご紹介した「日本武道館」の前の通りを北へ。
「皇居外苑・夏のおすすめ散策コース」で最後にご紹介する場所は、旧江戸城建築遺構の中で最古の門、「田安門」です。
現在の門は寛永13年(1636)に建てられたとされています。昭和36年には、清水門や桜田門と同様に重要文化財に指定されました。
田安門を抜けると、右手に写真の「牛ヶ淵」、左手に春の桜(ソメイヨシノ)で有名な「千鳥ヶ淵」を見渡すことができます。国内最大の城郭であった、江戸城の広大さを感じますね。
壮大なお濠や石垣、美しい櫓や重厚感のある御門等、魅力いっぱいの皇居外苑で涼をとりながら、のんびり散策を楽しまれてはいかがでしょうか?
※田安門の最寄り駅は、公園を出て濠沿いに坂道を下ってすぐの「地下鉄九段下駅」をご利用ください。
※散策の際は、こちらのパンフレットをご利用ください。
※今回のコースを地図でご覧になる方はこちら.pdf