日本固有の城郭美・桜田巽櫓(さくらだたつみやぐら)
本日も昨日に続き穏やかな良いお天気となりました。昼間は太陽光がぽかぽかと暖かく、春の装いで皇居外苑を散策されるお客様を多く見かけました。
今回の出発点は和田倉噴水公園。東京駅丸の内中央口と皇居とを結ぶ行幸通りに面した一角に凛として上品に聳えるこの公園は、今上天皇のご成婚を記念して昭和36年につくられました。
平成5年には、皇太子殿下の御成婚を記念して、落水施設や流水施設も加えられ、より一層、観光で訪れる方や、近隣の皆様に親しまれています。
「これぞ日本固有の城郭美!」ともいうべきこの景観は、和田倉噴水公園西側に位置する内掘通りを横断するとすぐご覧いただけます。
桔梗門と富士見櫓も一望され、旧江戸城の建物が三つも揃って見えるおすすめビュースポットです。
江戸城の多くの櫓のうち、現在残っている櫓三基の中で、一般の方が近くによって見学できる櫓はこちらの「桜田巽櫓」のみ。本丸の東南辰巳にあたることから名付けられ、桜田二重櫓とも呼ばれます。
櫓は戦略的には、「石落し」(石垣よりはみ出た出窓部)や鉄砲、矢用の「挟間(ざま)」などを備えています。
屋根の下の出窓のような部分の下面が濠の水面に面しており、この下面にいわゆる「石落し」と呼ぶ穴があいており、これによって石垣をよじ登ってくる敵兵に対し、真上から攻撃。石を落としたり熱湯をふりかけたり、あるいは鉄砲で掃射するという設備になっています。
また、出窓突出部の側面にみえるこちらの小さな穴が「挟間(ざま)」と呼ばれる矢や鉄砲を放つための小さい窓。弓を射るためのものを矢挟間といい、多くはこのような短冊形です。
皇居前からの眺望で、江戸時代から三百数十年を経て、変ることなく石垣の上にそびえ立つ櫓の遺構。
桔梗濠の一角に佇む貴重な日本固有の城郭美を、どうぞお楽しみ下さい。
※国民公園協会皇居外苑では、皇居でぜひみておきたい史跡や、特に見逃せないポイントをマップによりご紹介しています。