平川橋と紅葉が織りなす景観美
日中は日差しが出ているにも関わらず、コートが一枚欲しくなる寒い日が続いていますね。秋の深まりを感じずにはいられない今日この頃。急激な温度変化で体調を崩されないよう、皆様十分にお気をつけください。
今回の「自分歩き・自然歩きマップ通信」は、色付く木々と美しいお濠の中に浮かぶ「平川橋」をご紹介します。さあ、自分歩きマップ・自然歩きマップを片手に、皇居外苑散策へ出発です!
皇居外苑楠公レストハウスを出発し、平川橋へ向かう前にちょっと寄り道。内掘通りを渡って皇居の方角、桜田門を目指します。綺麗な秋空をバックに、重厚感のある桜田門(渡櫓門)の姿が現れます。
先日文化の日に、年に一度の門の閉門が行われたばかりの桜田門。渡櫓門をくぐり後ろを振り返ると、クロマツと美しいケヤキの紅葉がまるで額縁に収まっているかのようでした。(文化の日に行われた桜田門閉門ガイドツアーレポートはこちら)
桜田門(高麗門)を抜けると右手に広がるのは、皇居内最大の規模を誇る水空間で、満々と水を湛える桜田濠。歩道沿いに立ち並ぶユリノキの黄葉、美しく広大な濠と国会議事堂の姿が楽しめるお薦めビュースポットです。
桜田門を訪れた際は、是非この位置からの特別な景観をカメラで撮影されてみてくださいね。
ふと桜田濠を覗いてみると、中むつまじく行動するヒドリガモの姿が。この他お濠ではオオバンやカイツブリ、ハシビロガモなど留鳥や渡り鳥が数多く見られるようになりました。これからの季節はお濠でのバードウォッチングが楽しめますよ。暖かい格好でお越しください。
・・・桜田門を見学し、お濠で野鳥に癒されたところで、内堀通りへ戻って平川橋を目指します。
左手に広がるクロマツ林をのんびりと眺めながら、進行方向へ歩いていきましょう。
少しすると左手に見えてくるのは皇居前広場一番の人気スポット、二重橋と伏見櫓を眺めるこの景観。「伏見櫓」の名称は豊臣秀吉が京都伏見に築いた伏見城を取り壊し、その一部を使用したという「伝」によるものです。なんともロマンがありますよね。
さらに進行方向へ進むと左手に桔梗門広場が見えてきます。その広場奥に門を構えるのが、歴史上有名な坂下門外の変がおきた「坂下門」です。
そのままさらに濠沿いに進んで行くと・・・静かなお濠の水面に美しい白壁を映りこませている桜田巽櫓の姿が。側の交番横から撮影すると、桜田巽櫓(さくらだたつみやぐら)、その奥に桔梗門、更に奥に富士見櫓が写り込む、とっておきの一枚が撮影できますよ。
さあ、平川橋まであと少し。紅葉を楽しみつつ大手濠沿いに歩いて行くと・・・
濠を見渡すことのできる三角に突き出た小さな公園が左手に現れます。この場所に佇むのは「和気清麻呂公像」。昭和15年に行われた「紀元2600年記念事業」の一環として建てられたものです。
この公園から、本日のお目当てである平川橋の姿がのぞめます。ゆるやかなアーチを描く美しい木橋。近付いて行きましょう。
平川橋にやって来ました。
皇居の外周において、現在まで江戸時代をそのまま残しているのはこちらの平川橋と平川門だけ。本丸から近い通用門であった平川門は、大奥の女性達が頻繁に往き来した橋でもあります。平川橋は美しい「そり」を持つ太鼓型。景観的なこともあるのでしょうが、濠の管理上、橋の下を舟で往来する必要性からというのが大きな理由と考えられます。
そしてこちらは橋の両脇に取り付けられている高欄の擬宝珠(ぎぼうし)。橋には計6つの擬宝珠が存在しますが、全てに慶長期、寛永期の刻印があります。明治20年に西の丸下乗橋(二重橋)が鉄橋に架け替えられて不要となった際に、平川橋の高欄に転用されて現在に伝えられてきたものです。
これは、江戸城関係の最古の「金石文」といわれています。平川橋を渡る際は是非こちらの高欄にもご注目くださいね。
それでは、この季節平川橋が最も美しく見ることのできるとっておきビュースポットをご案内します。
平川橋から濠沿いにさらに歩いていくと、徳川家康が関東に入国する以前に既に存在していたといわれる「竹橋」が現れます。現在は石造りとなったこの橋を渡って・・・
右手に見える東京国立近代美術館を目印に、左を向くと・・・
少し小高くなった小さな休憩スペースがあります。実はこの一見気付かずに通り過ぎてしまいそうな場所が、秋ならではの平川橋がお楽しみ頂ける、お薦めビュースポットの撮影場所なのです。
こちらがこの場所で撮影した一枚。色付きが濃くなってきた周辺の木々と、悠々と水を称える平川濠の中に、太鼓型の橋と背景の近代的なビルが時代を超えた風情を醸しだしています。
空気の澄んだこの季節、多くの木々に囲まれた皇居外苑の紅葉を楽しみながら、カメラを片手にのんびりと散策されてはいかがでしょうか?もちろん、散策マップ自分歩きマップと自然歩きマップをお供にして頂けると嬉しいです。
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