「五感で楽しむ新宿の秋 ~御苑さんぽ~」ガイドツアーイベントを開催しました
10月12日(月祝)に、新宿区立戸山図書館と国民公園協会の共催で、視覚に障がいがある方対象のガイドツアーイベントを開催しました。
戸山図書館は新宿区の障がい者サービスの拠点館として、対面朗読や点字資料の貸出しなど、様々な活動を行っており、ガイドツアーも戸山公園を会場にこれまで3回開催してきましたが、今回初めて、地域の観光名所である新宿御苑での開催を企画しました。
ガイドツアーの特徴のひとつが、3D模型の御苑マップを使用した園内散策です。御苑での視覚障がい者対象のイベントは初の試みであり、約半年の準備のもとプログラムが完成しました。
当日は朝から秋晴れの気持ちよいお天気。視覚障がいのある15名とサポートの同伴者11名、盲導犬が参加しました。
まず最初に、インフォメーションセンター2階のレクチャールームにて、イベントの概要と、御苑の歴史を紹介しました。3Dマップの制作者の鶴見大学の元木教授より「百聞は“一触”に如かず」とのお話がありました。元木教授は、年齢や障害の有無に関係なく、誰でも必要とする情報に簡単にアクセスするための情報保障を専門に、これまでさまざまな事業を手掛けてきた第一人者です。「触察力」ではなく、触って感じて理解したいという「触察欲」が大切とのことです。

3Dマップの使用方法の説明後、園内散策スタートです。
解説ポイントまでの道すがら、同伴者が「芝生でピクニックしている人がたくさんいますよ」「意外と若い人や外国人が多いね」「少し紅葉している木がありますよ」など、周りの風景や雰囲気を細かく伝え、参加者のワクワク感が高まりました。
マテバシイの木の下では、落ち葉を踏む音や感触を楽しみました。その後、どんぐりを手に配り、つるつるとした丸さを確かめながら、「マテバシイの実は何年で出来るか」のクイズにチャレンジです。答えを発表したときに、「そうなんだ!」とみなさん笑顔になったのが印象的でした。

温室の前庭のブンタンの実の観察では、「こんなに重いの?」「スイカみたい!」と、柑橘類最大級の果実の大きさに驚いていらっしゃいました。実際に木に実っている様子や、実の重さで枝がしなっている姿、葉がぷにぷにしている様子などを観察しました。

園内で一番の長生きの木、樹齢約400年と言われる大ケヤキは、今回のツアーの一押しポイントのひとつです。落雷の被害を受けた部分、樹木治療後の再生した樹皮などを触りながら、幹回り約6mをぐるっと一周し、植物のたくましい生命力を感じました。

そして、大ケヤキから新宿方面へ向かって、風景式庭園の広大な芝生を歩きました。御苑を代表するふかふかの芝生の感触に、「近所の公園の芝生とは違う」「芝生の上をこんなに長い距離歩いたことはない」などの感想をいただきました。

最後は、御苑の原風景である武蔵野の雑木林の母と子の森のくさはら広場で藪漕ぎをし、チカラシバの動物のしっぽのような穂の感触を楽しみました。

今回、コース設定やガイド内容の準備において、戸山図書館の矢部館長と川畑さん、元木先生と何度も下見を重ね、視覚以外から得る情報でいかに楽しんでいただけるかを考え、解説方法や資料の作成方法などのアドバイスをいただきました。
手で触る感触、足裏からの感触、聞こえてくる様々な音や言葉、鳥や虫の声、木々の間を流れる風や植物の香りなど、この季節ならではの魅力をあらためて発見しました。
参加者のアンケートでは、「秋のにおいがしました」「五感を使って違う世界に入りました」「触れることで御苑の全体感を感じることができた」「立体地図で歩くコースをイメージ出来た」「次に新宿御苑に来るときは、今回は周らなかったエリアを3Dマップを持って巡ってみたい」といった感想もいただきました。

これからも、障害や年齢等にかかわらず、すべての人が安心して訪れることのできる新宿御苑を目指して、取り組みを進めてまいります。

※新宿経済新聞に取材していただきました。
https://shinjuku.keizai.biz/headline/3223/