庭園を守るお仕事通信夏号【植生班】
植生班のお仕事から、今回は芝生のエアレーションをご紹介します。
新宿門から風景式庭園へと広がる広大な芝生は、新宿御苑の人気スポットのひとつ。桜のシーズンには多くの来園者が行き交うことで土が踏み固められ、土中の空気や水分の通り道が減少します。その結果、根が十分な酸素を吸収できなくなり、芝生の生長が妨げられてしまいます。
青く美しい芝生に回復させるため、現在、新宿門周辺などに立ち入り禁止区間を設けて養生を行っています。さらに芝生の生育を促すために「エアレーション」という作業を行っています。
芝生の上をゆっくり走る作業車の後部には、クシのような形をした針が取り付けられています。この車を走らせることで、芝生にザクザクと等間隔に穴をあけていきます。
これは、踏み固められて詰まり気味になった土に空気を送り込み、弱った根を元気にするための工夫です。細かく穴をあけることで土の通気性を良くし、芝の生長を助けることが出来ます。
穴の深さや間隔は、その時々の芝の状態に応じて調整します。
作業車が通ったあとを上からのぞくと、細かく均等に穴が開いているのがわかります。このように、年に一度エアレーションを行うことで、土壌環境を整え、美しい芝生を維持しています。
新宿御苑では、来園者の皆さまに豊かな自然を楽しんでいただけるよう、日々植物の管理に取り組んでいます。
風景式庭園では、今も広々とした芝生がご覧いただけます。ご来園の際は、ぜひ足元の植物にも目を向けてみてくださいね。
芝生の養生中はご不便をおかけいたしますが、美しい景観を保つための大切な作業です。
みなさまのご理解とご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。