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庭園を守るお仕事通信春号【菊班】

庭園を守る取り組み

毎年11月に開催される菊花壇展。中でも一番人気の「大作り花壇」は、前年の7月から栽培が始まっています。
今回は、重要な工程のひとつ「大作りの又養生」についてご紹介します。

大作りの菊は、去年の夏から菊栽培所内(非公開エリア)の温室で育てていましたが、今月中旬には日除け棚へと移動します。
分岐部分(又)をテープだけで保護して移動するのは枝を損傷するリスクが高くなります。すでに高さが3メートル近くまで育っているため、株全体を斜めに傾けて温室から搬出する際、枝に負担がかかりやすくなるからです。
そこで、枝を傷めないよう、テープだけでなく紐を使ってしっかりと固定し、丁寧に養生してから運びます。

分岐している3本の枝を固定する際のポイントは、「枝と枝を最短距離で結ぶ」ことです。最短距離で結ぶことで、強いテンションをかけなくても、安定して固定できます。
枝がなるべく広がらないように軽く寄せ、フォークのような形を目指して結びます。
まず1本の枝に紐を結び、紐をよじってからもう1本の枝にかけ、しっかりと引っぱりながらテンションをかけて固定します。こうすることで、緩みなくしっかりと結ぶことができます。
特に下から数えて2段目までは重要な分岐なので、紐でしっかり固定します。

 

上部はテープ留めで移動します。
枝は「上へ上へ」と伸びようとする性質があり、テープ留めの間隔があいていると、枝が上に持ち上がってしまいます。そこで枝が若いうちは写真のように細かくテープで留めて誘引する必要がありました。それでも生長とともにテープが緩んでくるため、移動前にしっかりと留め直します。

この大作り菊は、高さが3メートルにもなりますが、使用している鉢はわずか15号(直径約45cm)です。枝の重みでどうしても上部が前に傾いてくるため、ブロックなどで鉢を固定して支えています。丈夫な根を育てることで、地上部が大きく育っています。「小さな鉢でも与えた水で生き生きとしている」ことが、大作りとして育てられるかどうかの判断材料になります。

日除け棚への移動は、最後の植え替え作業でもあります。
11月の晴れ舞台に向けて、美しい花を咲かせるための栽培は、これからが本番です。日々の手入れや管理を重ねながら、その瞬間を最高の形で迎えられるよう励んでいます。

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