庭園を守るお仕事通信冬号【温室班】
今回は、温室班のお仕事の中から「植物の更新」についてご紹介します。
新宿御苑の温室では、約2700種の植物を育てています。
植物は成長とともに古くなりますが、温室班では「挿し木」という方法を用いて常に植物を更新し、植物の持続的な保全に努めています。
挿し木とは、植物の一部を切り取り、発根させて増やす方法です。親木と同じ遺伝子を持つ新しい株を作ることができるため、植物の特徴や個性をそのまま次世代に引き継ぐことが可能です。
具体的な手順は、まず枝を切り取り、挿し穂用のサイズにカットします。
次に、発根促進剤をつけて用土に挿し、挿し穂から発根するのを待ちます。
発根後は、植物の生長に合わせて徐々に大きな容器に植え替えていきます。
観賞室に展示している植物が衰弱し、倒木や落枝の危険から伐採される場合にも、同じ遺伝子を持つ株を育てておくことで、同じ種類の植物を未来に残していくことが可能になります。
温室班は、多くのお客様に植物を楽しんでいただくと同時に、新宿御苑の植物の多様性を守り、植物そのものの生命を未来につなげる重要な役割を担っています。そのため、日々の作業に細心の注意を払いながら取り組んでいます。
温室を訪れる際には、ぜひ植物たちの花や葉、実だけでなく、植物を支える作業の裏側にも思いを馳せてみてくださいね。