庭園を守るお仕事通信冬号【植生班】
本日は植生班の冬の作業から「タギョウショウ(多行松)の剪定」をピックアップしてご紹介します。
冬の間、新宿御苑内で剪定が行われる主な樹種には、ウメ、並木のプラタナス、そしてタギョウショウなどがあります。
タギョウショウ(多行松)は、学名 Pinus densiflora ‘Umbraculifera’。品種名の「umbraculifera」は、樹冠が平らで傘状になる特徴に由来しています。
新宿御苑では、日本庭園から中の池にかけて約40本が植えられており、クロマツを台木にアカマツを接ぎ木した園芸品種です。その名の通り、株元から複数の幹が並んで伸びています。
松は常緑樹ですが、古い葉が枯れて新しい葉に更新されます。剪定作業では、古い葉を取り除き、伸びすぎた枝や重なり合った枝、枯れ枝など不要な枝を除去して樹形を整えます。
大きな木の場合、枝と枝の間に足場を組み、数人がかりで一枝ずつ手入れを行います。
剪定作業は、樹形を美しく整えるだけでなく、余分な枝葉を落として風通しを良くし、病害虫の発生を防ぎます。また、光合成が効率的になり、樹木の健全な成長を促します。
剪定を終えた木は、茶色い古い葉がなくなり、すっきりとした印象になります。太陽の光も枝葉にしっかり届きそうです。
【作業後】
新宿御苑には歴史ある庭園を象徴するように、古くから植栽された樹木がたくさんあります。タギョウショウの多くは樹齢100年以上と推定され、御苑とともに時代を歩んできました。
このような歴史ある木々がこれからも健やかに生育できるよう、庭園を守る取り組みを進めています。
作業中はご迷惑をおかけすることもありますが、ご理解とご協力をお願いいたします。