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庭園を守るお仕事通信冬号②【菊班】

庭園を守る取り組み

毎年11月に日本庭園で開催される菊花壇展。その準備は1年以上前から始まっています。

菊の栽培には質の良い土が欠かせません。新宿御苑では、園内の落ち葉で腐葉土をつくり、菊や温室植物の栽培に使用します。本日は腐葉土作りに使用する落ち葉集めの準備をご紹介します。

腐葉土づくりに適しているのはシラカシやマテバシイなど照葉樹木です。葉のクチクラ層が厚くて硬い葉が、ざっくりとした腐葉土を作るのに適しています。クチクラ層とは表皮細胞の外側に分泌されたロウ質の層のこと。比較的かたい膜層で、水の蒸発を防ぎ、葉を保護するなどの役割があります。
水はけのよい腐葉土が必要なので、繊維がしっかりと残る照葉樹木が多く植栽されているエリアで落ち葉集めをします。落ち葉集めはブロワーで拭いたり熊手で集めたりしますが、スムーズに行うために、落ちている枝を集めて避けておきます。

腐葉土に使用する樹木については、ひこばえを放置しておくとどんどん大きくなって栄養を使ってしまいますし、株から離れた場所に出ているものは落ち葉集めで邪魔になってしまうので、このタイミングで切っておきます。

ここ数年はナラ枯れの被害が広がり、多くの樹木が伐採されたため、落ち葉集めをするための樹木と、そのエリアも減ってきています。

さらに弊害も起きています。樹木が少なくなると地面に日光がたっぷりと入ることで笹などが茂るようになりました。このため枯れ草の刈り払い作業が必要になりました。ナラ枯れの影響で落ち葉集めも容易にはできなくなってきています。

園内では減ってしまった樹木を補充する為に、たくさんの苗木が植えられています。10~20年後に立派に育って葉を茂らせてくれることを期待して、長期的展望をもって植林を行っています。

菊花壇展は皇室ゆかりの伝統行事です。伝統を守るための対策は、落ち葉をとるための植林活動から始まっています。

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