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庭園を守るお仕事通信9月号【菊班】

庭園を守る取り組み

毎年日本庭園にて、11月1日~15日までに開催の菊花壇展に向け、いよいよ栽培は最終段階に入りました。
本日は「伊勢・丁子・嵯峨菊花壇」の嵯峨菊の仕立てをご紹介します。

嵯峨菊は「箒作り」という仕立て方で、キュッと絞られた株元から7本の茎が出ているように見せる仕立て方法です。一鉢に3株植えて育て、それぞれの株から2~3本の枝が伸び最終的には3株から7本の花を咲かせます。

花壇に展示するのにふさわしい株を選んだ後、台風対策として日除け棚から安全な栽培室に移動します。

鉢の枝を見て、一番育っている枝を中心として印をつけます。そして中心に刺してあった芯竹を残して、回りの支えを外して枝の長さを比較しそれぞれの枝の配置を決めていきます。

株によって育ち方はまちまちです。小さく育った株は前側に配置するため、その位置に合わせて鉢の正面を決め、印のプレートを付けます。
そして芯竹に割小竹を添えて、枝がぐらつかないようにしっかり支えます。

まずは、この芯竹に中心になる茎を固定します。栽培管理の際は、着色していない肌色のラフィアを使用していましたが、今回より本花壇の展示用に仕立てるため、黒塗りのラフィアを使用します。黒塗リのラフィアとは、肌色のラフィアを黒に染めたもので、実際には緑色に見えるため、目立たずに仕立てることが出来ます。
全体の重心付近、出来れば芯竹の節の少し上を「鵜口結び」で固定します。鵜口結びとは、長良川の鵜飼いで鵜の首を結ぶ方法で、簡単に緩められますが、外れにくい結び方です。鵜の首結びのあとに、堅結びをして、さらにしっかり固定します。そして結び目はなるべく葉の裏側に隠します。
次に、下の分枝付近を軽く結び、枝のふくらみが出ないよう適切な場所で固定します。
作業中も、力が分散してしまわないように脇芽を取り除きます。上の方を結ぶときは、黒ラフィアが目立たないように裂いて細くして使用します。まだ枝が生長するので、邪魔しないように、一番上は柔らかい部分を避けて留めます。

残りの6本の枝は、高い2本を後ろ、中間2本を中心の両サイド、低い2本を前に配置します。7本以上の枝がある場合は予備として残しておきます。

6本の枝を支える針金は、芯竹と同じ場所に刺すのが理想ですが、その後の生長により振れる可能性があるので、菊の根元に刺して株を固定します。
6本の枝も、中心の枝と同様に留めていきますが、美しく配置するために反対側から枝を引っ張ることもあります。あまり無理がかからないよう、ゆとりをもたせながら引き寄せて針金で留め、重心に近い部分は「鵜の口結び」でしっかりと留めます。

中心を含めて7本が針金に留め終わったら、芯竹(中心)に銅線を3本結びます。
これから1か月でまだ枝が伸びますので、成長を見越した位置に銅線をつけます。

銅線の端にそれぞれ枝を添わせた針金を結び付けて、全体が箒の形になるように整えていきます。
最後に、地面に近い部分で7本の枝をまとめます。

嵯峨菊は京都の嵯峨地方で発達した菊で、細長い花びらがまっすぐに立ち上がって咲きます。繊細な姿が魅力的な菊ですね。どうぞお楽しみに!

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