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庭園を守るお仕事通信8月号【植生班】

庭園を守る取り組み

本日は植生班の8月の作業から「ナラ枯れ予防剤の樹幹注入」をピックアップしてご紹介します。

ナラ枯れはカシノナガキクイムシ(以後カシナガと略します)がナラやシイ、カシ等のブナ科の樹木の幹に穿入(せんにゅう)する際にナラ菌が持ち込まれ、それがまん延して樹木の細胞が壊死し、通水障害を起こして枯死する現象です。このため、7~8月になると急に葉が変色して枯れた姿になります。また、樹木内で成長したカシナガがナラ菌を付着させたまま脱出し、別の健全な樹木に穿入することでナラ菌が伝染し、被害は拡大していきます。

【カシナガが出したフラス(粉状の木くず)】

薬剤を幹に直接注入(樹幹注入)するとナラ菌や(カシナガの餌となる)アンブロシア菌を阻害し、ナラ枯れ被害を抑える事ができます。
樹幹注入は夏の時期に作業を行います。園内のスダジイ、マテバシイ、コナラ、シラカシ、アベマキ等の樹木を調査し、穿入孔やフラスが確認できたもの、未確認でも被害を予防したい樹木を選定し、樹幹注入を行います。

作業にあたっては、まず高さ1.2m位置の樹木の直径(胸高直径)を測定します(幹周を測ることで直径がわかります)。直径に応じて薬剤の注入箇所数が増減し、注入量が決定します。

樹木は下から上へ水分や養分を吸い上げるため、薬剤は根元付近に注入します。
注入箇所数に応じて均等にドリルで穴を開けた後、目印として竹串を刺していきます。直径が1m程の木になると40箇所近くの穴を開けます。

目印がある穴に、専用の注入器で薬剤(1箇所当り0.5ml)を注入していきます。

カシナガとは、体長5mm程くらいの甲虫で、6~7月くらいに木に穿入します。その際、集合フェロモンによって集団を呼び寄せ、集中的に穿入し、交尾、産卵を行います。卵から孵った幼虫は短期間で成虫となり翌年の6月頃に親が開けた穿入孔から脱出し、他の健全な樹木へと飛び立ちます。
樹木がナラ枯れ被害によって枯死すると伐採しなくてはなりませんが、薬剤を注入することで、被害を抑える事ができます。
新宿御苑の植生と景観を維持し、来園客の皆様にとって快適で安全な庭園であるように、植生班は年間を通じて維持管理を行っています。

 

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