庭園を守るお仕事通信8月号【菊班】
本日は、菊班の8月の作業から「伏せ込み」をピックアップしてご紹介します。
菊花壇展では、新宿御苑の独自の形で展示する為に、竹などを使って型をつくり、菊の支えにしています。「伏せ込み」とは、所定の型に菊の茎を沿わせて形を整えるために、枝を倒したり立てたりして、理想の型に近づけていく作業のことです。伏せ込みを行う菊は「大作り花壇」「懸崖作り花壇」「丁子菊」そして下の写真の「江戸菊花壇」です。よく見ると黒い竹に菊が沿わせてあり、手前は低く奥が高くなるように仕立ててあるのが分かります。
仕立てる竹は、すでに完成型の高さに揃えてあり、夏の間に3回ほど「伏せ込み」を行います。江戸菊の場合、一つの鉢には5株から6株を寄せ植えして、それぞれから多くの茎が伸びてきています。(日本庭園の菊花壇展では鉢ごと花壇に埋まっています)
1回目の伏せ込みでは茎を倒し、伏せて曲がる癖をつけてもらうことを目的にしています。そして2回目以降の伏せ込みは、強い茎は伏せて緩やかな生長を期待し、弱い茎は立てて強い生長を促します。全体的にバランスをみて最終形を考えながら、茎をどこに誘導したら理想の形に近づくのかを見極め、位置の調整をしていきます。
型に使われる竹の位置は中心から紐をピンと張って留めて動かないようにしてあります。菊の生長の妨げにならないように、この部分も頻繁に様子を見る必要があります。
現在、この日除け棚では50鉢の江戸菊を育てています。11月1日から始まる日本庭園の菊花壇展に展示するぎりぎりまで、どの茎をどの竹に沿わせるか調整を重ねて、最終的に29鉢が選ばれます。
9月になると日本庭園で上家作りが始まります。菊花壇展が近づいてきました。楽しみですね。