東京農工大学創基150年記念講演「虫を知り、虫を防除し、虫を食べる」
新宿御苑は、国立大学法人東京農工大学の誕生の地です。
1874年(明治7年)に、内務省勧業寮内藤新宿出張所に置かれた農事修学場と蚕業試験掛が、東京農工大学の農学部、工学部それぞれのルーツです。
その後、宮内庁所管の新宿植物御苑を経て、国際外交拠点のパレスガーデンとなり、昭和24年(1949)に国民公園「新宿御苑」として一般開放され、現在に至ります。
2024年は東京農工大学が創基150周年を迎えるにあたり、創基の地である新宿御苑との共催で、東京農工大学の教員による講演会を開催します。
本日は東京農工大学教授 鈴木丈詞氏による講演「虫を知り、虫を防除し、虫を食べる」を開催しました。
はじめは防除のお話。現在、一般に普及している殺虫剤は、原料が石油に依存していたり、徐々に薬効に慣れて耐性が出来てしまうことから、紫外線で自然防除する研究が進んでいるそうです。
農工大では、葉につくダニに紫外線や可視光を照射し、防除効果を検証しています。
次に食用昆虫の研究のお話です。
日本にはイナゴや蜂の子などを食する地域がありますが、世界各国においても古来から虫を食べる文化があります。
昆虫を食べる利点としては、家畜と異なり二酸化炭素を排出しないこと、たんぱく質などの栄養が豊富なこと、農作物などに比べて重量が軽いため収穫作業に労力がかからない点があげられます。
世界では、タイやカンボジアで食材としての生産が盛んだそうです。タイの農家では、1990年代から農作物と一緒に昆虫を飼育し、子どもへの教育の一環として学校の給食に出すそうです。
また、これからはさらに、生ごみを食べて自然分解させる虫など、私たちの生活に利益をもたらす益虫としての期待が高まっています。
世界では、タイやカンボジアで食材としての養殖が盛んだそうです。タイでは1990年代から農家と一緒に昆虫を生産しており、子供たちに教育してから給食に出すそうです。
また、生ごみを食べる虫や、鳥の餌用など、益虫や食材として、これからますます未来にひろがるお話が聞けました。
講演会では、農工大で研究している昆虫の展示もあり、参加者も実際に生きものに触れることができました。
お子さんの参加者も多く、みなさん珍しい昆虫に興味津々です。
楽しく未来につながる講演会となりました。
新宿御苑のインフォメーションセンター1階にあるアートギャラリーでは、「國を紡ぐ~東京農工大学はじまりの地から未来を見つめる~」と題して企画展を開催しています。
今後もさまざまな講演やワークショップを開催します。ぜひ足を運んでみてくださいね。
◆日時
令和6年5月28日(火) ~ 令和6年6月30日(日)
新宿御苑インフォメーションセンターの開館時間に準じて開催
◆主催: 国立大学法人東京農工大学
共催: 環境省新宿御苑管理事務所
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