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新宿御苑の歴史探訪【歴史的樹木 Part1】

歴史

新宿御苑の地は、大名の下屋敷~農事試験場~皇室庭園、そして国民公園へと歴史が移り変わりました。そして、この長い年月の中で植栽された多数の樹木が大きく育っています。歴史的樹木Part1ではユリノキ、モミジバスズカケノキ、ラクウショウ、メタセコイア、アメリカキササゲをご紹介します。


園内のユリノキは、新宿御苑が農作物や園芸植物の栽培試験場「内藤新宿試験場」だった明治20~30年代頃に、日本で初めて植えられたといわれており、樹齢は推定120年以上。明治40年には、街路樹育成用に園内のユリノキの種子が東京に払い下げられ、赤坂迎賓館から外堀通りの紀伊国坂をはじめ、現在東京都内の街路樹のユリノキは、御苑のユリノキが母樹であるといえます。

園内には約30本植栽されていますが、中でもひと際存在感を放っているのは、風景式庭園の真ん中に威風堂々と立っている3本ユリノキです。遠くから眺めると1本の大木のように見えますが、実際は3本が寄り添って立っています。1本の幹回りは約5メートル、樹高は高いもので約35メートルにまで生長しており、風景式庭園のどこからでも見ることができます。


モミミジバスズカケノキは園内に約220本あります。新宿御苑のモミジバスズカケノキは、明治20~30年代に日本で初めて植えられた国内で最も古い歴史のある木といわれています。明治30年には、海外より種子を輸入して、栽培を行い全国各地に広まっていきました。


園内に植栽されているモミジバスズカケノキの内の約140本は、整形式庭園のプラタナス並木に植栽されています。プラタナス並木の木は新宿門近くのモミジバスズカケノキなどに比べて、すらっとしていてスリムですが、実は同い年です!両方とも明治時代に植栽されたものですが、毎年剪定されているものと、自然樹形でのびのび育ったものでは、まったく違ってきます。整って洗練された並木の姿、八方に枝を伸ばした巨樹のダイナミックな力強さなど、それぞれのプラタナスの魅力をお楽しみください。

 


ユリノキやモミジバスズカケノキ同じ時代に植えられた樹木がラクウショウです。 新宿門から入ってすぐ、右手側の園路を外周に沿って進んで行くと、空高くそびえ立つ巨樹が並ぶ、幻想的な景色が広がります。木に囲まれ、ここが新宿であるということを忘れてしまいそうな雰囲気です。知る人ぞ知る人気のエリアです。


【写真:4月撮影】

地面からはニョキニョキと生えている謎の物体があります。これは気根(きこん)と呼ばれる根っこが変形したものです。ラクウショウは別名「沼杉(ぬますぎ)」と呼ばれおり、湿潤な沼地や川辺に生育し、地中にある根っこが水中では十分に酸素を吸収できないため、地上や水面に気根を出して呼吸しています。

 

ラクウショウに近い種のメタセコイアは、化石が発見されているだけで、約200万年前に絶滅したと考えられていました。しかし、1945年に中国で自生木が発見されてから、『生きている化石』として有名になりました。
現在では、公園樹や街路樹として良く植えられていますが、新宿御苑には、昭和25年にカリフォルニア大学のR・Wチェネー博士から2年生の苗が2本配られました。下の池の島に植栽されている樹が、当時頂いたものといわれています。

中国原産、スギ科の落葉高木で、現地では高さ35メートルにもなります。下の池をはじめ、母と子の森やこども広場など園内各所に植栽されていますが、どの木も高さ30メートルと高木に育っています。樹形はきれいな円錐形で遠くからでも目につきます。秋には葉が美しく色づくことから、「曙杉(アケボノスギ)」とも呼ばれています。昭和天皇は、この名前を大切にされていたとか。毎年、紅葉を楽しみにされているお客様も多くいらっしゃいます。


【写真:11月撮影】


アメリカキササゲ(Catalpa bignonioides)はノウゼンカズラ科の落葉高木です。漢字ではアメリカ木大角豆と表しますが、これはアメリカに自生し、木に豆のササゲ(大角豆)のような細長い果実をつけることから名づけられました。
名前の通り、北アメリカが原産地で、日本には明治時代に渡来しました。新宿御苑の記録では、明治7年(1874)にラクウショウやヒマラヤシーダーとともに種子を輸入して栽培したのがはじまりとされており、その当時、植えられた木といわれるのが、こちらのアメリカキササゲでした。ところが、園内でもとくに見晴らしのよい高台で生育していたことが災いしたのでしょうか。今から数十年前の落雷により、名木のアメリカキササゲは幹が途中で折れてしまうほどの大きな被害を受けました。残っている幹だけでも、樹高6メートル、幹回りはおよそ440センチにもなり、落雷被害を受ける前はかなりの巨樹だったことがうかがえます。その後、名木のアメリカキササゲには樹木治療がほどこされ、何とか一命をとりとめました。真っ白な枯木のようになってしまった姿はそのままですが、しっかり木は生きており、両隣に1本ずつ、生長したひこばえと共に毎年、春には新芽を出し、6月には花を咲かせています。

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