庭園を守るお仕事通信5月号①【菊班】
本日は菊班の5月の作業から「大作りの定植」をピックアップしてご紹介します。
冬の間、菊栽培ヤードの温室で大きく育てた大作り花壇に使用する株を日除け棚に移し、最後の植替え「定植」を行いました。もともと135株あった大作り菊は植え替えの度に選別され、この温室では18鉢育てられていました。その中から本花壇用に選ばれた8個が定植となります。
人の身長を優に超え、上へ上へと大きく伸びた枝を傷つけないように、慎重に栽培温室から5人がかりで運び出します。
定植用の株まで育つと人力で運ぶのは困難なため、運搬車を使って50m先の日除け棚まで運びます。
車に載せる時や運搬時の振動などでも枝が折れてしまう事があるため、スタッフが横で支え、時折声をかけながら連携して作業します。
日除け棚まで運搬車で運んだ株は、定植する場所までは人力で運びます。
日除け棚の骨組みに枝が当たらないように、「もう少し池」「新宿に傾いているから戻して」など東西南北を示す新宿御苑の菊班独自の方向指示が飛び交います。
日除け棚には、地面に数カ所穴が開いていて、その中には定植用のカゴが置かれています。そのカゴの四隅をセパレーターというボードで区切ります。これは、これから来る梅雨に備えてです。まだ根が発展途上の少ない状況の菊に、長雨などで土が乾く間が無いと根腐れしてしまう可能性が増えるので、土を減らし、乾きやすくする為の工夫です。梅雨が明けたら、赤玉土と腐葉土を入れてセパレーターを外します。
カゴに株を定植する際、展示用の台座にカゴのまま入れるため、台座から出ない高さを考慮して植え込んでいきます。
植え込む高さが決まったら、鉢と菊を固定している紐を切り、鉢のふちをハンマーでたたくと、スポッと抜けました。
1度目の摘芯の時に菊の顔となる正面の方向を決めて育てているため、今回の定植の時にも顔が正面になるよう、顔の位置や角度等、数人のスタッフで確認します。
定植の位置が決まるとセパレーターをつぶさないように注意しながら、下に押し込むように土を入れます。
今回選ばれた8個の大作り花壇用の菊のうち、3つが日本庭園の花壇に飾られます。秋の日本庭園を彩る菊花壇展をお楽しみに。