庭園を守るお仕事通信3月号【植生班】
本日は植生班の3月の作業から「ハチトラップの設置」をピックアップしてご紹介します。
園内を散策していると、木の枝に吊り下げられているペットボトルを見かけた方も多いと思います。これは女王ハチを捕らえるためのしかけです。
新宿御苑ではハチの人的被害を極力減らすため、毎年ハチトラップを設置しています
3月になり気温が上がりはじめると、女王バチが冬眠から目覚め、巣作りを始めます。この時期にハチトラップを設置し、女王バチを捕獲すれば巣が作られずスズメバチやアシナガバチの数を減らすことができます。
ハチトラップ作りは、、職員がひとつずつ手作りしています。
園内で収集した空のペットボトルをリサイクルし、特にスズメバチが入りやすい3~4㎝くらいの大きさの穴を数か所開けます。
中に砂糖やシロップ、お酢等を混ぜ合わせた液体をいれます。この液体から発する樹液のようなにおいに誘われてトラップにハチが入ってくるしくみになっています。液体は、毎年配合や種類をかえて、どの組み合わせがハチを呼び込みやすいか、よりよいものをチョイスしています。
昨年までのデータを参考にしながら、今年はハチが通りやすい場所にある木になど園内128箇所に設置しました。どの木のトラップに何匹ハチが入ったか、毎年集計して統計をとります。
スズメバチは危険な生き物という印象が強いですが、農作物食害する毛虫などを食べる益虫という一面もあります。また、鳥やクモなどの食料になることもあり、新宿御苑の中でも自然生態系の大切な一員になっています。
これからの季節、ハチの活動が活発になります。ハチに出会ったら、手で払ったり急に動いたりせず、じっとして飛び去るのを待ちましょう。
地球に生息する一員として、必要以上に恐れず、上手く共生していきたいですね。