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庭園を守るお仕事通信2月号【菊班】

庭園を守る取り組み

毎年11月に開催される「菊花壇展」。日本庭園の近くにある菊ヤード(非公開エリア)では現在、今年の芽を挿す準備をしています。本日は菊班の作業から「親木の摘芯」をご紹介します。

去年の菊花壇展のために育てた菊は、冬になると地上部は枯れますが、土の中には根が残っているので、温室の中で管理していると芽が出てきます。ちょうど冬至の頃に出てくる芽なので冬至芽(とうじめ)と呼んでいます。

これを来年の菊花壇用に使う挿し芽を採るために育てます。冬至芽から育てると、茎が丈夫で太いものが出来るのですが、花に栄養が行きにくくなる傾向があります。植物は弱い状態から育てると頑張って伸びようとし組織も新しく、綺麗な花をつけるという性質があるので、冬至芽をそのまま育てることはしません。

春になると育った冬至芽から、たくさんの芽が出るのでそれを挿し芽としてとりますが、芽の大きさに差があると、当然、出来にも差がついてしまいます。菊花壇展に展示する為に育てているので均一の品質かつ数を揃え、生育状況をフラットにする必要があることから、この時期に親木(冬至芽が育ったもの)を摘心し、脇芽を出すように促します。


元気な葉が3枚か4枚ついたところで、上部をカットします。

菊班のスタッフが総出で、ひとつひとつの鉢と向き合いコツコツ作業しています。この時期に親木を一斉にカットすることで、脇芽も一斉に同じような大きさで伸びてきますので、春にこの脇芽を挿し芽として使います。

実際の挿し芽は4月に行うのですが、水分を与えた後に、引っ張るとポキっと脇芽は簡単にとれます。これに「発根剤」をつけて植え付けます。挿す土は養分が入っていると、そこから腐ってしまうので肥料系の入っていない土、石の粉のような土に植え付けていきます。

毎日の地道な作業の積み重ねで、美しい菊花壇展が開催されています。

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