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庭園を守るお仕事通信9月号【菊班】

庭園を守る取り組み

園内の菊栽培所(非公開エリア)では、秋の伝統行事・菊花壇展の準備が1年以上前から行われています。10月には日本庭園での準備が中心になってきます。菊栽培所での準備は佳境に入ってきました。
本日は菊班の作業から「懸崖造りの植え替え」をご紹介します。

(写真:2022年 懸崖造り花壇)

昨年の株から出た冬至芽を菊栽培所の温室で育てた後、懸崖作りの株は、日除け棚のコンクリートの枠でおおわれた土手で大きな株へと育てていました。
今日はこれらの株を本番用の鉢に植え替える作業を行いました。
株は土の中に直植えで栽培しているわけではなく、籠の中に植えたものを地中に植えて栽培しています。その理由は、植替えの時に株や根を傷つけないようにするためです。普通の籠ですと目が詰まっていて、水はけが悪くなりますし、根が育つのを妨げてしまいますので、新宿御苑では網目が大きめの特注品を使っています。

長く伸びた根を切ってしまったり、株を傷めないよう慎重に掘り出していきます。堀り上げた株は、茎や枝などが折れないように5人がかりで移動します。

植え付ける鉢の底には、水はけを良くするために大きな粒の赤玉が入っています。鉢に入れる前に根の周りに根腐れ防止の細かい石の粉を付けてから、新しい鉢に植え付けます。懸崖担当のスタッフが株の状況を見て高さや、中心、全体のバランスなど、指示を飛ばしながら、植え込む位置を決めます。
位置が決定したら、鉢底の大きめの赤玉土の量を調整した後、培養土を入れていきます。株が傾いたりしないように、隙間をつき棒を使って埋めていきます。

ひとつの株から枝葉を大きく一定方向に伸ばしているので不安定なため、鉢から支えの竹を立てて、竹で組んでいる舟枠(土台)にしっかりと固定していきます。

新宿御苑の懸崖作りは、崖の上で咲いている菊が下に流れる様に咲く姿を表現しているので、本花壇で展示する際には、鉢が終わる辺りで垂れ下がるように、舟枠を調整して仕立てます。

植え替えが終わった鉢は、空気の隙間がなくなるように、時間をかけながらたっぷりと水を与えます。
この後、11月の菊花壇展本番に花が咲くように、遮光ネットなどで調整しながら見守り育てていきます。

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