庭園を守るお仕事通信8月号【菊班】
園内の菊栽培所(非公開エリア)では、秋の伝統行事・菊花壇展の準備が1年以上前から行われています。
本日は菊班の作業から「培養土づくり」をご紹介します。
(写真:2022年 大作り花壇)
菊を丈夫に育てる為には、使用する培養土は重要です。新宿御苑内の菊栽培所では菊栽培スタッフが培養土も作成しています。
培養土の材料のひとつである腐葉土の作成は、毎年冬季に清掃班と協力して園内で落葉を集めるところから始まります。
しっかりした繊維質の腐葉土を作るためには、マテバシイ等の常緑照葉樹の葉を利用します。シイ系統の常緑樹はいつも青々としているイメージですが、1年中落葉と芽吹きを繰り返し、木の下には落ち葉がたくさん貯まっています。
収集した落ち葉は菊栽培所の落ち葉貯めへ運びます。そこで、発酵促進剤、米糠、油粕が混ぜられ、水を加えながら撹拌を繰り返し、良質の腐葉土を作ります。
一般的には、腐葉土は6年ほどかけて作られますが、新宿御苑では作成期間が半年のものを使用しています。その理由は、葉の形を残した状態で利用するという狙いがあります。
今日は、出来上がった腐葉土は一度ふるいにかけて、微塵でもない粗(アラ)でもない中間の腐葉土を選別しました。選別する理由は、培養土の中に枝が混じっていると根の生長の妨げになるためと、細か過ぎると泥のようになって水はけが悪くなってしまうからです。この時に虫の幼虫を発見することもあり、取り除いていきます。
選別した腐葉土に燻炭(くんたん)、赤玉土、ヤシガラ、ヤシガラの炭などを混ぜ、しばらく時間をかけて馴染ませます。今回、選別した腐葉土は、来年の大作りに使用する土です。
植替えのタイミングと菊の種類に合わせた培養土をつくるため、配合を調整します。その為
年間、約9種類の培養土を作っています。
基本的に、シャベルを使用して人力で混ぜていますが、総量が2000リットルを超えるものは、重機を使って混ぜ、しばらく寝かせます。寝かせることによって空気の隙間がなくなり土が落ち着きます。
作った培養土は、根を傷めないように植替えをする時に水をかけて程よく湿らせてから使用します。
菊栽培所では秋の晴れ舞台に向けて、毎日、菊と向き合いながら準備をしています。