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庭園を守るお仕事通信7月号【植生班】

庭園を守る取り組み

本日は植生班の作業から「ナラ枯れ予防材の樹幹の注入」をピックアップしてご紹介します。

ナラ枯れという言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。ナラ類やシイ、カシ類などのブナ科の樹木を枯らす樹木の伝染病で、カシノナガキクイムシによって伝染していきます。

(被害にあったマテバシイ)

カシノナガキクイムシ(以後カシナガと略します)は、体長5mmくらいの甲虫で、7~8月くらいに木に穿入(せんにゅう)し、フェロモンによって集団を呼び寄せ、集中的に穿入して卵を産みます。この時、病原菌のナラ菌を持ち込みます。
ナラ菌によって木は、樹幹の水を吸い上げる機能が悪化し、急激に枯死してしまいます。
穿孔した木で幼虫は成長し、越冬します。翌年の6月頃から、成虫になったカシナガは飛び立ち、付近の健全な木を探して穿入し、毎年これを繰り返します。

新宿御苑には多くのブナ科の木があります。被害が甚大になると枯死するため、木を伐採しなくてはなりませんが、殺菌剤を樹幹注入することで、カシナガが穿入してもナラ菌の繁殖を抑止して、枯死を防ぐことができます。

殺菌剤は、樹木の幹の太さによって量が変わってきます。適量を注入するために、幹周を測ってから薬剤を注入する穴をドリルで開けます。


その後、専用の注入器で開けた穴から殺菌剤を注入していきます。薬の効果はおよそ2年続くといわれています。

園内には、すでにナラ菌の影響により、伐採せざるを得なくなった樹木もあります。これ以上の被害を出さないよう、植生班は日頃より、早期発見・早期対応に心がけ、快適で安全な庭園を目指し、維持管理を行っています。
作業中はご不便をおかけしますが、ご理解ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

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