新宿御苑の歴史探訪【庭園様式】
新宿御苑は、広さ58.3ヘクタール、周囲3.5kmの園内に、ヨーロッパ式の風景式庭園と整形式庭園、日本庭園を巧みに組み合わせた日本における近代西洋庭園の名園といわれています。
新宿御苑の発展に深く係わった福羽逸人は、明治33年にヴェルサイユ国立園芸学校教授アンリ・マルチネーに新宿植物御苑を庭園に改造する計画を依頼し、5か年にわたる改造がなされ、1906年に新宿御苑が完成しました。
マルチネー氏の鳥瞰図は、昭和20年(1945)の空襲で焼失しましたが、現在の風景式庭園・整形式庭園・日本庭園の原型とほぼ同じ様式が保たれています。
各庭園の特徴をご紹介します。
【風景式庭園】
ゆったりと広がる芝生と、自然のままにのびのび育った巨樹が特徴の庭園です。
新宿門から整形式庭園へまっすぐのびた、見通し線(ビスタライン)の中央には、御苑のシンボルツリー・高さ35mをこえるユリノキがそびえています。
【整形式庭園】
約100種約500株の特色あふれるバラが咲き誇るバラ花壇を中央に、左右対称に計約160本のプラタナスを4列の並木にデザインした庭園です。
マルチネーの庭園完成予想鳥瞰図では、正門を入って正面にルネサンス様式の2階建ての宮殿、その前庭には大噴水が描かれています。宮殿建設は実現しなかったものの、現在もバラ花壇の前には広いスペースが確保され、その先に広がる風景式庭園が臨めます。
【日本庭園】
ゆるやかな池の流れに沿った、池泉回遊式の庭園です。
11月には皇室ゆかりの菊花壇展が開催されます。
現在、日本庭園がある場所はかつて皇室庭園時代に、新宿御猟場の鴨場が新設され、明治13年(1880)~明治17年(1884)まで皇室の狩猟場になっていました。新宿植物御苑の庭園改修に伴い、鴨場は、動物園を含めた日本庭園に改修され、現在の形が出来上がりました。
【玉藻池】
江戸時代の内藤家の屋敷跡の面影をとどめる庭園です。
現在の大木戸休憩所には、御殿が建てられ、池、谷、築山をしつらえた景勝地「玉川園」が造られたといわれています。
【母と子の森】
武蔵野の里山を模した自然観察フィールドです。身近な自然や動植物とふれあうことにより、子供たちの豊かな感性と自然への関心を育むために、昭和60年(1985)に造られました。
様々な表情を持つ、特色あふれる様式の庭園がお楽しみいただけます。