庭園を守るお仕事通信5月号【温室班】
5月5日のこどもの日、温室では「親子多肉植物植替え教室&バックヤードツアー」を開催しました。今月のお仕事ブログはイベントの様子をピックアップしてご紹介します。
温室前に集合した後、ますはアオノリュウゼツランの花芽を観察しました。まだ2mほどですが、これからぐんぐんと伸び、およそ10m程まで生長します。次は、先月定植した「甲州ぶどう」(先月のお仕事ブログリンク)の説明がありました。定植をして1か月。葉を増やし元気につるを伸ばしています。これからパイプ製の棚が見えなくなるほど葉が茂ってくるでしょうね。
ぶどう棚のアーチをくぐると、いよいよ、普段お入りいただくことのできないバックヤードになります。「温室の向こうに見えていたのは栽培室だったのね。たくさんあるのね。」お客さまはびっくりされていました。バックヤードには、栽培室が11棟と日除け棚棟があります。11棟ではそれぞれ種類別に栽培されています。中には冷温室もあり、暑さが苦手な植物は夏の間、冷温室や日よけ棚に移動します。温室の栽培には夏支度や冬支度があるんですよ。
冷温室に入った一行は今回のメインイベントの多肉植物の寄せ植えを体験しました。
まずスタッフから形が整う寄せ植えのポイントなどの説明を聞いて、子供たちは、ビュッフェのように好きな植物や石を選び、鉢の中で思い思いにデザインして植物と触れ合いました。
出来上がった寄せ植えは名札をつけて、現在は温室内乾燥地の植物コーナーで展示しています。
温室の魅力は日常生活では見られない植物との出会いですね。栽培室の中にもたくさんの植物があります。寄せ植え体験の後は、各棟の前でいろいろな植物の説明を行いました。希少な植物や興味深い話にお子さんたちも覗き込んで聞いていました。
栽培棟には、絶滅危惧植物の栽培エリアもあります。新宿御苑は植物園協会に登録していて、全国の植物園と協力して自生地で絶滅が心配されている植物の保護育成を行っています。万が一の自生地絶滅に備えて、種子の冷凍保存も行い、大切な植物が次の世代に残せるようにしています。
また、新宿御苑の歴史を語る上で欠かせない洋ランの栽培室もあります。明治時代カトレアは国力を示すとまで言われていて、海外の賓客のおもてなしに欠かせませんでした。その時代からこの地で積極的に栽培交配し、オリジナルのランも多数つくりだしてきました。現在もランの原種や新宿御苑のオリジナルのランを大切に継承しています。
最後に、ツアーの初めにご覧いただいたアオノリュウゼツランで、数年前に枯死した花芽を観察しました。横にしてみると、こんなに大きかったのかと実感しますね。高いところに咲いていた花芽もじっくりと見て頂けました。
温室では、今後も温室ガイドツアーやバックヤードツアーを開催していきます。
◎大温室鑑賞教室
【日程】毎週水曜日
【開始時間】11:00(所要時間45分程度)
【受付】大温室前(当日受付)で開始30分前より受付開始
【定員】先着5名程度
◎バックヤードツアー
【日程】毎週木曜日
【開始時間】13:30(所要時間45分程度)
【受付】大温室前(当日受付)で開始30分前より受付開始
【定員】先着5名程度