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庭園を守るお仕事通信6月号【菊班】

庭園を守る取り組み

本日は菊班の5月の作業から「江戸菊の支柱立て」」をピックアップしてご紹介します。

菊花壇展は、1878(明治11)年に宮内省が赤坂の仮御所で皇室を中心に菊を鑑賞する「菊花拝観」を催したのがはじまりです。江戸菊花壇はその時から展示されている歴史ある花壇です。

江戸菊は江戸時代から庶民の間でも栽培されて発達した古典菊で、花が咲きはじめから終わりまで約30日かかり、その間に花びらが様々に変化することから、「芸菊」、「舞菊」、「狂菊」という別名もあります。

新宿御苑の江戸菊は「篠立て作り」で仕立てます。これは明治時代から続く伝統的な仕立て方で、細かい決まり事があります。
篠竹(しのたけ)という細い竹を使って支柱にします。本花壇用の大きな鉢に5株前後の菊を植え、1枝に1輪咲くようにして、合計で27輪の花を咲かせるようにします。
結い立てた状態が「篠つく雨のごとく数多くたっている」情景を模したことから、篠作りともよばれていました。
篠つく雨とは、篠竹の竹林のように、強く細かく高密度で降る、激しい雨の様子を表します。

本花壇に飾った時に、伝統的な仕立て方になるように、篠竹を立てます。
根が傷つかないように注意しながら斜めに篠竹を立てていきます。また、竹ならではの性質を利用して、しならせながら立てることにより強度が増します。
中央後ろ寄りには芯竹という太い竹を立てて、芯竹から丈夫な糸でそれぞれの支柱を結び固定します。

篠竹は左右対称にバランスよく次々と立てられていきます。スタッフはいとも簡単にやっていますが、篠竹も植物なので、真っ直ぐではありません。曲がり具合なども見ながら、長年の経験と技術で作業を行います。
また、花壇に飾った時に篠竹が目立たないように、黒く塗るのも菊班スタッフの仕事で、冬場に1本ずつ手作業で塗っています。

株が生長してくると、伏せ込みをしながら、枝を振り分けていき、篠竹に合わせて結い立てます。本花壇では、鉢ごと土の中に植えます。その時に、1本ずつの茎が、直接地面から出ているようにみせるのも、江戸菊花壇の伝統です。

江戸菊花壇は伝統を守りながら、後世へ受け継がれていきます。

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