庭園を守るお仕事通信6月号【植生班】
本日は、植生班の6月の作業から「薬剤の樹幹注入」をご紹介します。
整形式庭園のプラタナス並木。大きな葉がつくる木陰は、夏の強い陽射しを遮り、憩いのスペースを作りだしています。そのプラタナスを好んでついてしまう「プラタナスグンバイ」という虫がいます。北米から侵入した虫で、繁殖期の初夏から夏にかけて被害が広がります。
プラタナスグンバイは、体長3mm程で、ストロー状の口で葉の汁を吸い取り、放っておくと並木全体の葉が白く変色してしまうので対策が必要です。
新宿御苑では、毎年、並木のプラタナスに薬剤を樹幹注入することで、虫の被害を防いでいます。樹幹注入のメリットは薬効が長い事、そして薬剤散布のように周りに飛散しないので、人的被害がなく、天候にも左右されず、安全に作業が出来ることです。
まず、樹木の大きさに合わせて打ち込む穴の数と薬の量を決め、幹まわりにドリルで注入孔をあけていきます。
穴に注入補助器を挿し、そこに薬剤を注入します。
薬剤が浸透するのを、5分程度待って注入補助器をはずします。
補助器を抜いた穴をそのままにしておくと、菌が入ってしまい病気になってしまうので切り口に殺菌剤の入った被覆塗布剤を塗って塞ぎます。半年くらいで穴はふさがります。
今年も約160本のプラタナスに樹幹注入が終わりました。夏は木洩れ日が、秋には紅葉が美しいプラタナス並木をお楽しみいただけそうです。