庭園を守るお仕事通信5月号【菊班】
本日は菊班の5月の作業から「伏せ込み」をピックアップしてご紹介します。
伏せ込みとは、良く育っている枝と生長が悪い枝をバランスよく日に当てて差が無くなる様に枝の生長を調整する作業です。
植物は、光の方向に伸びる性質があるため、光が良く当たる上側だけがぐんぐん育ちます。
良く育っている枝を横に寝かせ(伏せ込む)ることにより、下から伸びてくる枝もまんべんなく生長できるように調整します。
枝が生長したら摘芯して芽の数を増やしていき、再び伏せ込みを行います。この作業を何度も繰り返します。
今回、取材に訪れた時は、懸崖作り花壇で展示する菊の伏せ込み作業中でした。
懸崖作りとは、1本の小菊を大きな株に仕立て、野菊が断崖の岩間から垂れ下がっている姿を表現する技法のことです。3色・3種類の大きさの鉢を上家の中にバランスよく配置します。
大きさが「大サイズ」と「中サイズ」の懸崖菊の骨組みは、上から見た形が船に似ることから「舟形」と呼ばれています。立ち上がるように育っている株を、枝が均一に広がるように菊を舟形に仕立てていきます。
まず、ガーデンテープやラフィア(ラフィア椰子の葉を加工した天然素材)紐を支柱から外し、元の支柱やアルミ線も抜き、本花壇用の角度のついた新たな支柱を菊の根元に立てます。
次に、根元を支柱に沿わせて結びます。菊の曲がりはじめのところは特にきっちりと結びます。
株が舟形の中心になるように支柱に沿わせて紐で結んでいきます。菊は節の股が外側に引っ張られると折れやすいので、なるべく内側になるように伏せ込んでいきます。
今は枝数は少ないですが、11月には舟形を埋めつくすくらいに生長し、数えられないほど多くの花を咲かせ、見事な懸崖作りが完成します。
現在は、大作りも伏せ込みの作業中です。伏せ込みは細かく根気のいる作業ですが、11月の菊花壇展に向けて、菊班スタッフは日々邁進しています。