2018新宿御苑フォトコンテスト入賞作品【上位四賞】および審査員総評
【主催者あいさつ】
「2018新宿御苑フォトコンテスト入賞作品展」にご来場いただき、誠にありがとうございます。このコンテストは、カメラを通して新宿御苑の自然の素晴らしさを感じ楽しんでいただくため平成3年度から開催され、今年で28回目を迎えました。
今回は北は宮城から南は鹿児島まで全国各地376名のみなさまから1509点の作品のご応募をいただきました。平成3年度の開催以来、歴代13番目となる多数の作品が寄せられ、いずれも甲乙つけがたい力作ばかりでしたが、厳正な審査を経て入賞作品が選ばれました。
写真展には入賞作品とあわせて、審査にあたられた写真家の特別作品を展示いたしました。多くの方々にご覧いただき、新宿御苑の四季折々の表情と自然の美しさを楽しんでいただければと思います。
フォトコンテストの実施及び写真展の開催にあたり多大なるご支援をいただきました、環境省新宿御苑管理事務所、富士フイルムイメージングシステムズ株式会社ならびに関係各位に厚く御礼申し上げます。
一般財団法人 国民公園協会 会長 杉山 博孝
【審査員総評】
新宿御苑は信濃高遠藩内藤家の江戸屋敷から明治の農事試験場、日本初の皇室庭園という歴史を経て、昭和24年(1949)4月に国民公園となりました。本年2019年で国民公園開園70年の節目の年を迎えます。
昭和23年に生まれた私が初めてここを訪れたのは昭和30年のことで、東京にもこんなに広い原っぱや林があるのかと驚いた覚えがあります。
残念ながら当時の写真はありませんが、残っていれば重要な記録となり、様々な変化を見付け出すことができるでしょう。今回入賞された作品の中にも将来、新宿御苑の歴史を振り返る上で大きな意味を持つであろうものが幾つもあり、写真の記録性を再認識させられました。
写真はそこに行き、シャッターを押さなければ何も写すことはできません。入賞された方はもとより惜しくも入賞を逃された方々も機会ある毎に足を運んで様々なシーンを写され、次の機会に見せて頂けることを期待しております。
写真家 木村 正博
写真家 岡本 洋子
【環境大臣賞】
「紅一点」 松山 進さん
私の持論は「悪天候は傑作につながる」ですが、それを地でいったような画面です。降り積もった雪で足元の条件が厳しい中、中の池まで足を運ばれた甲斐がありましたね。色が消えたモノトーンの景色の中に赤い傘とジャケットの人物が浮き上がり、題名と実によくマッチしています。力強い冬木立の枝を画面左に入れ、右に庭園の景色を入れたフレーミングもお見事です。
撮影日:2014年2月14日
撮影場所:中の池
【環境省自然環境局長賞】
「みぞれ舞う」 高玉 浩さん
いい写真を写す上で大事なのは「いい被写体に出会うこと」ですが、作者は実にいいチャンスに恵まれましたね。満開の花で春到来を告げる早咲きの桜・陽光と、それをからかうように降りそそぐみぞれの組み合わせが、この時期の不安定な天候を象徴しています。
撮影日:2018年3月21日
撮影場所:風景式庭園
【環境省新宿御苑管理事務所長賞】
「大きく強く」 岡田 光生さん
風景式庭園の西側にあるユリノキの大木と人物、それに園外の建物を組み合わせて、都会のオアシス・新宿御苑ならではの光景を捉えています。カメラの位置を大きく下げたことで、まるで丘の上を見上げたような錯覚効果を与えます。画面を単純化し、モノトーンで見せたのも成功しています。
撮影日:2017年11月9日
撮影場所:風景式庭園
【一般財団法人国民公園協会会長賞】
「職人技」 菊地 豊さん
審査員も長いこと御苑を撮影し、菊花壇展にも何度も足を運んでいますが、このシーンには出会ったことがありません。長い竹竿を使って懸崖菊に水やりをしている状況とのことですが、いいチャンスに出会われましたね。そのチャンスを、的確な画面に収めたのが功を奏しました。
撮影日:2018年11月7日
撮影場所:日本庭園