「千鳥ヶ淵さんぽみち」を歩いてみよう!
慶長11年(1606)江戸幕府とともに築かれた濠の一つで、周囲を皇居、北の丸に囲まれている「千鳥ヶ淵」。その周囲をぐるっと巡るモデルコース「千鳥ヶ淵さんぽみち」を皆さんはご存知ですか?
今回の自分歩き・自然歩きマップ通信は、「千鳥ヶ淵さんぽみち」を歩きながら、江戸時代から現在まで続く千鳥ヶ淵の見どころや周辺施設をご紹介します。
今回の出発地点は、「九段下駅」2番出口。地下鉄東西線、半蔵門線、都営新宿線の3路線が乗り入れる駅です。
牛ヶ淵を左に見て「九段坂」を上がります。
終点に予定している北の丸公園の入り口「田安門」は一先ず通り過ぎると、歩道橋脇に明治の趣きを残した「九段坂公園」があります。公園内には、明治、大正の綿絵(にしきえ)や写真に必ず用いられる「高燈籠(たかとうろう)」や、明治時代の政治家「品川弥次郎」「大山巌」の銅像があります。
こちらは、九段坂から見た「千鳥ヶ淵」。北の丸の西側に位置するお濠で、もとは飲料水を確保するために川をせき止めて造られました。 石垣は三段構造に造られていて、一段目に「腰巻石垣」、二段目に「腹巻土塁」、三段目に約3メートルの「鉢巻石垣」の「土塁式石垣」となっています。
九段坂を濠沿い左に曲がりましょう。ここから千鳥ヶ淵戦没者墓苑までの700メートルが「千鳥ヶ淵緑道」と称される遊歩道です。 桜の時期になると多くの方が訪れるこの地は、明治30年前半の東京名所図会に、桜の季節の散策利用などが書かれている事からも、この頃から桜の名所として賑わいを見せていた様です。
現在は緑の遊歩道になっていますが、よく観察してみるとエゴノキの白い花が下向きに咲いていました。
こちらは緑道沿いに位置する「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」。第二次世界大戦で多くの日本人兵士が海外の地において戦没しました。こちらには、持ち帰られ遺族の手に渡せなかったご遺骨が埋葬してあります。
千鳥ヶ淵緑道を出ましたら交差点には渡らずに左に進み・・・(千鳥ヶ淵さんぽみちの看板があるので迷う事なく安心ですね!)
「警視庁麹町警察署千鳥ヶ淵派出所」も左に曲がりましょう。交差点を渡った向こう側のお濠は「半蔵濠」です。
こちらが、竹橋まで続く「代官町通り」です。 左側にひろがる「千鳥ヶ淵」は、千鳥が羽根をひろげた形に似たところから名付けられましたが、明治33年(1900)に行われた代官町通りの整備によって、新たに土橋が設けられ、千鳥ヶ淵と半蔵濠に分けられました。皇居を一周する内堀通りを東西にショートカットする役割を果たしています。
代官町通りを歩いていると濠沿いが土手道になっているので、階段を上ってみてください。
土手上の歩道には丸いテーブルのような台座が点在しています。これは、昭和20年に設置された九八式高射機関砲の台座です。なんでも360度方向に射撃可能だったそうです。
土手から歩道に戻り、下に首都高速が走る歩道橋を渡りましょう。 目の前に佇む赤いレンガの建物。こちらは、北の丸公園内に位置し、近衛師団司令部庁舎として建築。
現在は東京近代美術館工芸館として使用され、国の重要文化財に指定されています。関東大震災や第二次世界大戦をくぐりぬけ、東京ではすっかり少なくなった明治の香りを残す貴重な建物です。
(近衛師団(このえしだん)とは、天皇をはじめ皇居の警護を目的とした軍隊の事で、本部を皇居北の丸に構えていました。)
歩道橋を渡り終え少しすると左手にこじんまりとした階段が現れます。この階段を上って北の丸公園内に入りますと、「北白川宮能久親王(きたしらかわのみやよしひさしんのう)像」が迎えてくれます。
北の丸公園内を西側に進んでいきましょう。目の前に広がる池には・・・
涼しげなアオサギの姿。
また、公園内はベンチがたくさんあり、のんびりと森林浴をすることができます。
千鳥ヶ淵さんぽみちの看板通りに公園内の西側堤塘に上り北に進みますと・・・
北の丸西側を兵営地としていた近衛歩兵第一聯隊の将兵たちの散策や憩いの庭「怡和園」の石碑が残ります。「怡和(いわ)」とは、「喜び和らぐ」という意味だそうです。
西側の堤塘から公園中央に下ります。右に進むともみじ林の通り、中央は池のある芝生広場ですが、今回の終点地「田安門」のある左側へ。
こちらは、北の丸休憩所「ザ・フォレスト北の丸」。東京都八丈島産むろあじメンチカツバーガーなどここでしか食べられない個性あふれるメニューが人気を集めています。
日本武道館手前の中通りで二分されている北の丸公園(旧江戸城北の丸)。江戸時代中期には西側に御三卿の「田安家」、東側は「清水家」の屋敷地がありました。
武道館を北側に進むと今回の自分歩きマップの終点地である「田安門」に到着です。寛永13年(1636)に建てられた城内最古の現存建造物であり、国の重要文化財に指定されている門です。
所要時間はのんびり歩いて1時間30分ほど。もうすぐ訪れる梅雨時前に、「千鳥ヶ淵さんぽみち」を散策してみてはいかがでしょうか。