みなさんは皇居東御苑の本丸の西側に位置する「富士見多聞」が、昨年の2016年11月15日より一般公開されているのをご存知ですか?今回は、皇居東御苑の新たな観光スポットとして注目を浴びている「富士見多聞」についてご紹介します。

 

かつて本丸の縁辺には、塀よりも強固な防御機能を持った長屋造りの「多聞」という櫓が各所にありました。15棟あったともいわれている多聞の中で現存しているのは本丸西側に位置する「富士見多聞」のみです。

 

城郭の石垣上に建てられた「富士見多聞」は、鉄砲や弓矢、文書等の倉庫として使われていたようで、正確な建築年代は不明ですが、明暦の大火で焼失した多聞を万次2年(1659)頃に再建した可能性があるという説があります。その後、関東大震災での損壊や昭和43年の解体修理を経て、現在に至ります。

 

こちらが「富士見多聞」内部の模様です。広さは横31.5m、たて4.9m。

 

内部中央には、江戸時代に敷居の裏側に使われていた材木が展示されており、古い大工道具による仕上げ跡が確認できます。

 

蓮池濠から富士見多聞までの石垣の高さは約19mにもなる為に内部の格子窓からは皇居の美しい景色が眺めます。秋の紅葉山の紅葉や春の乾通りの桜など新しい眺望の場になりそうです。

 

本丸御殿内の将軍の日常生活の場である「御休息」の近くに位置している為に「御休息所前多聞」とも呼ばれていた「富士見多聞」。築かれた時には徳川の地位は安定しており攻撃に備える必要性がなく、確認はできませんでしたが襖(ふすま)が備えられていた形跡がある事から、倉庫以外の用途があったと言われています。

 

急な坂道を上った小高い場所に位置する「富士見多聞」へは、歩きやすいスニーカーで行く事をお勧めします。

(※車いすやベビーカーでの入場はできかねますのでご注意ください)