第5回 普及・啓発部会が楠公レストハウスにて開催されました
平成28年8月25日(木)に「一般社団法人 和食文化国民会議 第5回 普及・啓発部会」が開催されました。本部会は「食育活動」をはじめ、「和食」に関する効果的なPR活動の実施を目的として立ち上げられたものです。
普及・啓発部会が楠公レストハウスで開催されるのは前回に続き3度目となります。今回も和食に関する知識や魅力が存分に紹介される開催内容となりました。
今回行われた開催スケジュールは以下の通りです。
【普及啓発部会】
14:00 開会 部会長 伏木 亨
14:05 講演「昆布のお話」 株式会社吹田商店
代表取締役社長 吹田 勝良
~5種類の昆布だし試飲と昆布試食~
15:35 休憩
15:45 講演「だしの話」 部会長 伏木 亨
京都大学准教授 林 由佳子
~5種類の合わせだし試飲~
16:15 普及・啓発部会 各事業報告 普及・啓発部会幹事
各部会より連絡 各部会幹事
16:45 閉会
部会はじめの講演は、株式会社吹田商店 代表取締役社長 吹田氏による「昆布のお話」。様々な昆布に関する知識がクイズ形式でわかり易く説明されました。
吹田氏によると、昆布にとって大切なのは、「太陽の光」、「海水の養分」、そして「川の水」。海の中ではなるべく多くの太陽光を浴びるために、昆布は横に生えているのだそうです。
また、昆布の収穫場所は主に北海道。その理由として、昆布の大好物である「親潮」の流れがあることが挙げられました。日本海側は親潮が入ってこられないため、美味しい昆布を取ることが難しいそうです。
そして気になる昆布の収穫期。昆布は約二年かけて収穫されます。太陽光が強くなる4月から6月に一度目の成長、そして翌年の3月頃から二度目の成長が行われます。7月初旬から8月の終わりが最も収穫に適した時期で、売り物になる良い昆布を選び、手で引き抜いたり、カマで切るなどして収穫するのだそうです。
そんな昆布の歴史は古く、なんと食べられ始めたのは今から約8000年前!鎌倉時代に仏教の広まりと共に庶民に広がり、安土桃山時代には大阪で昆布の商いが盛んに。江戸時代の幕末には、清(中国)に薬として、沖縄(琉球)を通して薩摩藩による密輸が行われ財をなした為、軍備が拡大され、それが倒幕の決め手となったと吹田氏は説明します。
続いて行われたのは「昆布だしの試飲」と「昆布の試食」です。各テーブルに用意されたのは北海道の各地で収穫された「真昆布(函館)」、「利尻昆布(稚内)」、「羅臼昆布(羅臼)」、「日高昆布(浦河)」、「長昆布(根室)」の計5種。それぞれ特徴や味わい、食べられる地域が異なる昆布です。吹田氏の解説を聞きながら、口に入れた感想を隣席同士で話しつつ、皆さんじっくりと味わっていました。
吹田氏の講演に続いて行われたのは、伏木部会長による「だしのお話」。礼文島にある3箇所の浜で取られる利尻昆布の成分の違いを示し、浜により昆布の味が異なることが説明されました。
そして今回の普及・啓発部会の講演最後を飾ったのは、京都大学教授の林氏による「味覚センサーによるおいしさの評価の確立~料亭の出汁を味センサーで評価する~」です。
林氏は、小学校の学校給食において味噌汁が減少したことを切り口に、基準出汁と料理人調整出汁、また、基準出汁と市販出汁、そして料理人出汁とインスタント出汁等の比較を実証データを用いて提示し、「おいしい」と「うまい」の違いを次世代に伝える大切さを訴えました。
最後に、技・知恵部会より活動報告として、愛知県に足を運び、地域の食材について視察・研究が行われたことや、9月27日(火)に開かれる講演「江戸食にみる夕食の発展」についてのお知らせが発表された他、普及・啓発部会からは、11月24日「だしで味わう和食の日」の新ポスターに関する呼びかけ等が行われ、各部会共、今後の活動における盛り上がりを大いに予感させ「第5回 普及・啓発部会」は終了しました。