皇居東御苑で花菖蒲が見頃を迎えています
早いもので、6月に突入しました。梅雨入りを目前に、過ごしやすい気候の日が続いていますね。写真は大手門の枡形内に鎮座する鯱(しゃち)。戦災で焼失した旧大手門渡櫓門の屋根に飾られていたものです。
江戸城の正門として大名や旗本はもとより、将軍も出入りしたとされるここ大手門から、二の丸庭園を目指しましょう。
江戸城登城の際通る監視所、「同心番所」、「百人番所」、「大番所」を通り、二の丸雑木林へ。
昭和天皇のご発意により、武蔵野林(雑木林)を造ろうと造成されたのが、こちらの雑木林です。江戸時代、この場所には「二の丸御殿」があり、家光の世嗣・竹千代(四代将軍家綱)の住まいや、前将軍の側室が晩年過ごした屋敷が置かれていました。
しかし明暦の大火(1657)で破壊されてから、二の丸御殿ともども焼失と再建が繰り返され、江戸開城の直前、慶応3年(1867)ついに全焼しました。その後時は流れ、東御苑開園後の昭和58年。園内の造成が行われ、平成14年と2期に渡り、多くの落葉樹や下草類が植えられ、現在の雑木林が出来上がりました。
そんな二の丸雑木林を抜けると、色彩豊かな花々の姿が目に飛び込んできます。こちらが、二の丸庭園です。
ここ二の丸庭園は昭和43年の皇居東御苑の公開開始にあたり、九第将軍徳川家重の時代に作成された庭園の絵図面を参考に造られた回遊式庭園です。
この時期のおすすめは、なんといってもこちらの花菖蒲。この菖蒲田には、84品種の花菖蒲が植えられています。皇居東御苑造成中の昭和41年(1966)に明治神宮御苑の菖蒲田から株を譲り受けて以来、大切に守り育てられているそうです。
花菖蒲は、山野に自生するアヤメ科のノハナショウブをもとに改良された園芸品種です。品種改良は江戸時代から盛んになり、改良された地域によって、江戸系、肥後系、伊勢系の三系統に大別され、ここには江戸系が植えられています。
花の見ごろは6月上旬から中旬頃。美しい回遊式庭園で見られる気品漂う花菖蒲の姿は、この季節ならではの特別な景観です。ご覧になる方は、お早めにどうぞ!
東御苑の詳細につきましては、こちらをご覧ください。