江戸城天守閣の背後を守る北桔橋門(きたはねばしもん)と石垣
本日の皇居外苑の空は昨日同様、どこまでも青空が広がっています。暖かく柔らかな日差しとは対照的に、お濠を吹き抜ける風は冷たく、思わず身震いしてしまうほど。厚手のコートとマフラーが手放せない一日となりました。
今回の自分歩き・自然歩きマップ通信は、自分歩きマップ掲載の北桔橋門をご紹介します。
今回のスタート地点は東京メトロ東西線の竹橋駅です。1a出口から地上に出ましたら、進行方向へまっすぐ進んでください。目的地「北桔橋門」までは約450メートル。
徳川家康が関東に入国する以前からこの場所にあったといわれる「竹橋」は現在石造りの橋となっています。その石橋を渡り、緩やかな坂道を登っていきましょう。
竹橋を渡り終えると、左手に植栽されているのは・・・・
うつむき半開きに咲くカンヒザクラ。今にもほころびそうです。
そのままさらに直進していきましょう。
すると、左手に北桔橋門両袖に広がる白い築地塀(ついじべい)が見えてきます。
江戸時代、こちらの北桔橋門を入ると、正面には江戸城天守閣が聳え立っていました。背後を守るこの門は非常に重要であったため、このように門両袖に、長く広い築地塀を構えたのです。
このあたりの石垣は江戸城城壁の中でも最も高く、高さは約18メートル。
石垣も、堅固に「野面積み(のづらづみ)」という工法が用いられています。野面積みは自然石をゆるみなく積むもので、地震に対して最も強いとされる石垣です。
また、北桔橋門向かって左手に広がる平川濠には、美しく幾重にか入り込む屈折箇所がありますが、これは直線が長くなり過ぎると強度が落ちるために使われる「ひづみ」という工法。
角の稜線部は「算木積み(さんぎづみ)」工法がとられ、長方形の角石を交互に積み上げて、全体に扇形のそりをつけるもので、力を両側の稜線方向から内側方向にかけあって、強度の安全性を高める工法となっています。
また、「桔橋(はねばし)」という名前の通り、江戸時代は非常事態が起これば、橋は跳ね上がる仕掛けになっていました。この点からも、本丸に最も近い地点にあるこの門の重要性がうかがえますね。
江戸城の石塁の中で、最も堅固で壮大重厚感のある北桔橋の石垣。この雄大な石塁の石の一つ一つに、人力がはたらき、300年を経た現代でも、偉大さを誇っている貴重な文化遺産です。
皇居散策の際には、外国では見られない、日本独特の雄美な景観を是非ご覧になってください。