楠公レストハウスで江戸エコ体験会が開催されました
平成27年11月6日、国民公園協会皇居外苑主催による「江戸エコ体験会」を皇居外苑楠公レストハウスにて開催しました。
江戸エコ体験会とは、江戸時代の料理書を参考に作られた「江戸エコ行楽重」を召し上がって頂きながら、循環型社会のお手本である江戸時代に焦点をあて、江戸の食文化や健全な食生活について学んで頂くというもの。
今回体験会にご参加頂いたのは、「一般社団法人 大学女性協会東京支部」の皆さんです。
講師は国民公園協会皇居外苑 楠公レストハウスの安部総料理長がつとめます。まずはじめに、「国民公園」である皇居外苑についての紹介が行われました。
「皇居外苑地区として指定されている場所は、皇居を取り巻くお濠の水面、皇居前広場、そして日本武道館がある北の丸公園です。その広さはほぼ皇居の中と同じ面積(115ヘクタール)で、東京ドーム46個分に相当する、広大な緑地を形成しています。」
意外と知られていませんが、「国民公園」はここ皇居外苑と新宿御苑、そして京都御苑の3苑のみ。皆さんはご存知でしたか?
続いて話は江戸時代からはじまった「一汁三菜」について。
伝統的和食の形態というと「一汁三菜」をよく耳にしますが、『一汁二菜』『一汁四菜』なども立派な和食。おかずの数によって異なる呼び方をし、一汁三菜でなければ和食ではない、ということはないそうです。
「江戸時代、『一汁三菜』というものは晴れの日の食事でした。普段の食事は一汁一菜であったり、具沢山の味噌汁だけであったり・・・。しかしながら特別な日、晴れの日は『生きていく為の食事』から『楽しむ為の食事』に変化したのが、江戸時代です。」
そんな晴れの日の食事について書かれた江戸時代の料理書を参考に作られたのが、楠公レストハウスオリジナルの「江戸エコ行楽重」。
「江戸エコ行楽重は江戸城跡である皇居外苑の歴史資産を活かしながら、環境に配慮した食の取り組み、エコクッキングを用いて、江戸の食文化を再現しています。現在7万人のお客様に召し上がって頂いていますが、そのうちの2万人は修学旅行等で訪れた学生の皆さん。普段の食事とは異なる、『日本食』に触れる機会として、ご好評頂いています。」
話は鎌倉時代に既に料理書が発行されていた日本の「精進料理」についての解説へ。
「鎌倉時代のお坊さんが使用していた料理書には、現代に通じる基本的な教えが多く記されています。作る喜び、もてなす喜び、相手の心を思って作る心。また、食材に対する敬意や手間と工夫を惜しまない・・など、その他料理人が持つべき心得が、この時代既に広まっていました。」
現代よりも江戸時代のほうが、このような教えが色濃く残っていたのでしょうね。
また、江戸時代は現在ほど食材が豊富ではない時代。そんな中、人々は豆腐や大根といった身近な食材で料理を楽しんでいました。
「一つの食材を百種類の料理にした料理本がベストセラーとなった江戸時代。江戸エコ行楽重の『五色田楽』はこの料理本を参考にしています。また、江戸の人々は味はもろんのこと、見た目や料理名にまでこだわっていた事が当時の料理本から見受けられます。」
その他、皆さんの関心を引いていたのが江戸時代における「調味料」の話。
「私たちは一品の料理に対して多くの調味料を使ってしまいがちですが、江戸時代の料理書には「調味料を使いすぎると素材の味が分からなくなり良くない」という記述があちこちで見られます。素材の味を生かし、淡い味付けを心がける。これらは健康的な生活を送る上で、私たちが見直さなければならない重要な事柄の一つとしてあげられるのではないでしょうか。」
その後、安部料理長は江戸エコ行楽重でも使用されている、江戸時代に醤油の代わりとされていた調味料「煎り酒」について解説。約30分にわたる講演は、盛況のうち終了しました。
「江戸エコ体験会」の最後を飾ったのはエコ・クッキングナビゲーターで講師を務めた太田さんによる「江戸エコ行楽重」一品々の丁寧な解説。
和気藹々とした雰囲気の中、当時の人々も食べていたであろう晴れの日の食事をお楽しみ頂きました。
自然を大切にする日本人の慣わしや、日本人がもともと持ち合わせていた食材に対する感謝の気持ち、日本人の大切なアイデンティティを改めて考えるきっかけとなる「江戸エコ体験会」。ここでしか味わうことのできない江戸エコ行楽重と共に、江戸時代の食文化や健全な食生活を学ぶ機会として、是非ご利用ください。
江戸エコ体験会の詳細についてはこちら → エコ・クッキングで楽しく学ぶ江戸エコ体験会.