二重橋構造の木橋が始まり 二重橋
こちらのブログでは、国民公園協会皇居外苑が発行している「自分歩きマップ」と「自然歩きマップ」に掲載されている、皇居外苑や東御苑、そして北の丸公園の魅力を、順次ライブ感覚でご紹介します。
皇居散策をより一層楽しむ為のガイドとなるよう、回毎に様々な史跡や自然、おすすめビュースポットをご紹介しますので、お時間のある方は是非ご覧になって下さいね。
さあ、散策マップを片手に散策スタートです!出発地点は皇居外苑の休憩施設、楠公レストハウス。
レストハウスすぐ正面には、東京の三大銅像の一つである楠木正成像の姿があります。(この像のご紹介は、次の機会に・・・)
その脇を通り過ぎて、皇居方面へ。
内掘通りの信号を渡り、クロマツ林が広がる、皇居前広場へ一直線。たくさんの観光客の皆さんと足並みを揃えて進みます。
楠公レストハウスを出発してから5分ほどで、開放感溢れる皇居前広場に到着しました。空がとても広く、高く感じられます。大勢の方が向かうその先に見えてくるのが・・・・
二重橋を眺めるこの景観。周辺は記念撮影される方達で大賑わいです。
・・・・と、ここで皆さんに質問。「二重橋」とは、一体どの橋のことを指していると思いますか?
正解は、こちら。あまりにも美しく際立っている花崗岩造りの「皇居正門石橋」の奥にかかって、少し影に隠れた存在となっているこちらの鉄橋を、「二重橋」と呼びます。
この場所に最初に橋が架けられたのは、江戸時代・慶長19年(1614)。当時は木造で橋桁の位置が非常に高かったため、一段下にも橋桁用の石垣を張り出して、補強用の橋桁を設け二段構造の橋(二重橋の名の由来)となっていました。
明治宮殿造営(完成・明治21年)に当たり、ドイツ人(ウイルヘルム・ハイゼ)の設計で錬鉄製の橋に架け替えられた後、昭和の新宮殿造営(竣工・昭和43年)に現在の橋(対候性高張力鋼製=竣工・昭和38年)へと姿を変えました。設計は内藤春治(東京芸大教授)で、意匠などをあまり変えることなく、架け替えられたのだそうです。
そんな二重橋奥上方に、実に優美な伏見櫓(ふしみやぐら)が目に飛び込んできます。皇居正門石橋の西欧的な建築美と日本の近世城郭美とが融合し、一層その美しさを引き立てていますね。思わずカメラのシャッターを何度も押してしまいました。
伏見櫓は、ここだけに残された二重櫓の両袖に※多聞櫓(たもんやぐら)があるもので、深い濠、美しい橋、高い土塁と石垣、そして大きな森と鮮やかに調和しています。(※多聞櫓とは、長屋式の櫓のこと)
また、「伏見櫓(ふしみやぐら)」の名称ですが、豊臣秀吉が京都伏見に築いた伏見城を取り壊し、その一部を使用したという説があります。
心行くまで素晴らしい景観を堪能した後、さらに橋に近付こうと砂利道を登っていくと、左手にブロンズ製の高欄(人止柵)があることに気付きました。
実はこちら、「ギリシャ建築コリント様式」で使われる「アカンサス(ハアザミ)」の葉を象ったもの。明治21年に完成した明治宮殿へのアプローチとして造られ、平成8年に原型のまま改修されました。
厳冬の最中でも緑を際立たせて伸びるアカンサスに生命力を強く感じて、彫刻のデザインに使ったのではないかと考えられています。
皇居前広場の人気観光スポット「二重橋」のご紹介はいかがでしたでしょうか?名前の由来や少しだけ踏み込んだ成り立ちや歴史が分かると、景観が一層色付いて見えてくるから不思議です。二重橋を訪れたら、皇居を代表する景観を構成している要素の一つ、伏見櫓(ふしみやぐら)やブロンズ製の高欄アカンサスにも、是非ご注目下さいね。
さあ、「自分歩きマップ」と「自然歩きマップ」を片手に、いざ皇居散策へ!