冬の自然教室(開催報告)
1月19日(日)、冬の自然教室が開催されました。今回は趣向を変え、講師が3名ずつ参加者と一緒に移動しながら自由に解説を行いました。「生きものの冬越しを探ろう」というテーマのもと、野鳥、昆虫、植物又はきのこの専門講師が、それぞれ生きもの同士のつながりを立体的に解説して下さり、大変楽しい教室となりました。
観察開始後まもなく樹上にアオバトを発見しました。御苑では冬になると姿を現す、黄緑の体色が美しいハトの一種です。野鳥の渡りや季節による移動は、エサが取れるかどうかで行われます。アオバトは主に果実や種子を食糧とし、御苑では地面に落ちたどんぐりを丸飲みしている場面に出会います。採餌後は樹上に移動し日光浴、その後は木の葉の陰に隠れて休息します。鮮やかな体色は目立ちますが樹上では保護色となり、猛禽類から身を守るに好都合との事でした。
野鳥を探しつつ上を向き歩いて行くと、モクレンの枝につくきのこを発見。傘の裏がハチの巣状になっているハチノスタケです。木材腐朽菌と言われる種類で、寿命を迎えた木を分解し土に戻す役割を担います。ハチノスタケがつく枝を良く見ると、冬芽がついていません。他の枝には冬芽が見られることから、この枝の部分だけが弱り寿命が近いという事を、ハチノスタケによって知る事ができるとのお話でした。
その他、モミの木の高所に発生した、象の足先のようなモミサルノコシカケや、手で触れると胞子をホコリのようにまき散らすホコリタケの仲間、小さく細いケコガサタケや「earth star」等とも呼ばれる星形のツチグリの仲間等も観察しました
(写真:ケコガサタケ)
昆虫の解説は、普段は非公開のビオトープ、トンボ池周辺で行いました。越冬の方法は昆虫によって様々ですが、トンボの仲間の中には成虫で越冬する種もいるとの事。谷講師が「雪の中からトンボが飛びだした様子を見た事がある」とお話されると、参加者から驚きの声が上がりました。
また「冬越しの場所は日の当たる場所より、寒い日陰が適している」という解説に、再び驚きの声が。「日が当たる場所だと、暖かい日に春と勘違いして外へ出てしまう恐れがある。日陰だと気温の変動が少ないのでその心配がない」という説明を聞くと、納得した様子で頷いていました。
塚本講師の班では、実際に冬越しの様子を見るべくエノキの葉をめくりました。葉についた昆虫の卵、ツヤアオカメムシを発見、またゴマダラチョウの幼虫やエサキモンキツノカメムシも観察しました。(観察した生きものは、すべて元にあった場所に同じ状態で戻しました。)
植物では、サルスベリ、モミジ、モクレン他様々な樹木の冬芽やカンサイタンポポのロゼット等、冬越しの形態についての解説がありました。
「京都御苑自然教室」は春夏秋冬、一年に4回開催しています。詳細は京都御苑ニュース、苑内ポスター、ホームページ等で随時お知らせしています。初心者向きの自然観察会ですので、お気軽に参加下さい。