春の自然教室
4月21日(日)、御苑北西部・乾御門前集合で平成最後の自然教室が開催されました。気温が上がり、雲間から日が差すと初夏を思わせるような陽気でしたが、88名の皆様と共に御苑の植物、野鳥、昆虫、きのこの観察を楽しみました。
植物はヤマグワ、緑色の花を咲かせるサクラの一種・御衣黄、そしてカンサイタンポポの解説でした。日本では現在、外来種のセイヨウタンポポが大半を占めるようになっていますが、ここ御苑では在来種のカンサイタンポポがほとんどです。「タンポポがなぜ地面にへばりついているのか?」「茎が立ち上がるのはどんな時か?」との解説に続き、「御苑でカンサイタンポポが多い理由」については、ここだけで聞ける話として皆さん興味深く耳を傾けておられました。
昆虫の塚本先生からはチョウやガとその名付けに関するお話でした。
モンシロチョウは本来ならモンクロチョウではないか?との指摘にハッ、と
する皆さん。その他、名前に込められた生きもの特性についてのお話でした。
時折周辺を舞うチョウを見て、お子様が積極的に質問する場面もありました。
同じく谷先生からは、昆虫の身体についての基本知識に始まり、ハチの解説が中心でした。女王バチ、働きバチ、オスバチはどう産み分けられるかという生態の説明、そして全身の毛がモフモフとして人気のある「飛ぶぬいぐるみ」こと、マルハナバチの標本等を観察しました。
解説中、付近のサクラの花にキムネクマバチが数頭現れました。苑内でしばしば目撃するハチの一種です。「キムネクマバチは滅多に人を刺しません。人間の事を「メスかな?」と思って寄ってくることがあるかもしれませんが、手で掴んだりしなければ大丈夫です。」との説明がありました。
きのこは、春を代表する3種(アミガサタケの仲間、オオセミタケ、ツバキキンカクチャワンタケ)の紹介がありました。網目模様が特徴的なトガリアミガサタケは、観察用に用意した本物を見る事が出来ました。オオセミタケは地中のセミの幼虫から発生する、いわゆる「冬虫夏草」の一種で、先生が準備した標本を観察。初めて参加したという女性は「セミの幼虫がきのこを食べるのかと思ったら、その逆なのですね」と大変驚いた様子。
そして「きのこは還元者」という解説を聞いた別の女性は「きのこが木を土に戻すというお話が、とても興味深かった」との感想を話しておられました。
野鳥の解説では、野鳥達の「ステップ」についてのお話がありました。地面で歩く野鳥(ハト、ハシボソガラス等)と、両足を揃えピョンピョンと飛ぶ野鳥(スズメ等)がいるのは、生活圏の違いによるものとの事でした。
そんな中お子様がミミズを発見し、ミミズと野鳥の話題になりました。シロハラやツグミは地面で地団駄を踏むような動きをし、その音に驚いた地中のミミズは動きます。その気配を野鳥がキャッチし、ミミズを捕えるとの事です。
ミミズは野鳥達の食べ物になると同時に、きのこと同様健康な土を作る存在として欠かせないものだと、自然のつながりに触れるお話もありました。
「京都御苑自然教室」は春夏秋冬、一年に4回開催しています。詳細は京都御苑ニュース、苑内ポスター、ホームページ等で随時お知らせしています。初心者向きの自然観察会ですので、お気軽に参加下さい。