冬の自然教室
1月20日(日)、御苑北西部の乾御門前集合で冬の自然教室が開催されました。当日は朝から生憎の雨、途中から雨脚が強まりさらに冷え込みました。
冬の自然をリアルに感じつつ、この季節ならではの野鳥、植物、きのこ、昆虫の観察を皆様と共に楽しみました。
葉が落ち見通しが良くなる冬は、バードウォッチングには最適な季節です。降雨の中でも、10種類以上の野鳥を観察できました。
アオゲラ(御苑ではやや珍しい、キツツキの一種)の目撃情報があり、まずキツツキの身体構造について説明がありました。長い舌の先がやじりのような形で粘着力があり、昆虫等を捕獲しやすくなっているとの事。また木を激しく突いても(1秒間に約20回)脳震盪を起こさない様、衝撃をうまく吸収する仕組みになっています。実際、ガラスに衝突して救護機関に運ばれてくる野鳥の中に、キツツキの仲間はいないそうです。
その後、雨の中じっと佇むアオサギに遭遇。なぜ、濡れても平気なのか?野鳥の「防水対策」について、アオサギと他の種との違いも含めてお話がありました。
当日観察できた野鳥(2班合計):アオゲラ、アオサギ、アトリ、エナガ、シジュウカラ、シメ、ジョウビタキ(メス)、シロハラ、ヒヨドリ、メジロ等
植物では、コブシの冬越しの様子を観察しました。枝先には白っぽくなめらかな毛で覆われた冬芽がついています。観察の為、落ち枝につく大きな冬芽を分解してみました。
毛の生えた表面部分を取り除くと、中から花びらや雄しべ等、花の元となる部分を確認できました。さらに枝を良く見ると、やや小さく色や毛の質感が異なる冬芽も発見。大きな冬芽との違いについても説明がありました。
その他、見ごろのロウバイの花の構造や密生している理由について、ユーモア交じりにお話を頂きました。
きのこは「地下生菌」のお話がありました。「トリュフ」の様な「一生を地中で生きるきのこ」の仲間で、その特徴ゆえ専門家でもなかなか見つけられないそうです。地下生菌独特の胞子の拡散方法についての説明があった他、用意してあった実物を切り、珍しいきのこの断面を観察しました。
昆虫も越冬が主なテーマです。ハラビロカマキリの卵を観察したり、テントウムシに見られるような「集団越冬」について解説がありました。
また、樹木の洞に越冬中のクチベニマイマイ(カタツムリ)を発見。「カタツムリは昆虫ではありませんが…」という言葉から「昆虫の定義は何か?」と話が発展。「クモも虫だと思っていた」という昆虫初心者にも納得の、わかりやすく楽しい解説をして頂きました。
「京都御苑自然教室」は春夏秋冬、一年に4回開催しています。詳細は京都御苑ニュース、苑内ポスター、ホームページ等で随時お知らせしています。初心者向きの自然観察会ですので、お気軽に参加下さい。