夏の自然教室
7月22日(日)、御苑南西の閑院宮邸跡前集合で夏の自然教室が開催されました。連日の猛暑で当日も気温が上昇しましたが、参加者の皆様には水分や休憩を適宜取っていただきながら、夏の昆虫、きのこ、野鳥、植物の観察を楽しみました。
今回の植物は「知っているようで知らない樹木の果実」というテーマでトチノキ等の実を観察しました。トチノキは春、円錐状に白く小さな花をたくさんつけますが、その数に対して果実はわずかしかできません。その理由は何なのでしょう?
円錐状の花序のうち、将来果実になる両性花(雄しべと雌しべ、両方を備えた花)は下の方に少しあるだけで、上の方にあるのは雌しべが退化した雄花です。蜜を求めて訪れるハチは、花序の下部から上部へと順に移動し、てっぺんに達すると飛び立ちます。こうして花粉を身につけたハチが他の花(花序)へ移り、同じ行動を繰り返す事で受粉が行われる仕組みです。
「ハチの動きを考えるとこの花の構造は、違う花の花粉を確実に受粉するため工夫されたものなのでしょう。」とのことでした。
(写真上:【参考】春に開花したトチノキ)
(写真中:花序の下の方に数個だけ結実した現在のトチノキ)
昆虫では危険な生きもの、特にハチからどのように身を守るかというテーマです。野外観察で「ハチを刺激する黒色の服装は避けるべき」と言われる理由や、ハチに遭遇した場合にとるべき行動について具体的に解説してくださいました。
「ハチを手で払う行為は、ハチからは攻撃と見なされかえって危険なので静かにその場から離れるように。また刺された時に現れる症状は人により異なるので、自分で判断せず早急に病院を受診する事が大切です。」というお話でした。
ちょうどエノキのウロにミツバチが営巣しており、出入りする様子をフィールドスコープで観察することができました。
「京都御苑自然教室」は春夏秋冬、一年に4回開催しています。詳細は京都御苑ニュース、苑内ポスター、ホームページ等で随時お知らせしています。初心者向きの自然観察会ですので、お気軽に参加下さい。